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「別荘地や山林の販売費用について」

2013/04/22 カテゴリー: 売買

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 こんにちは。今回は、別荘地や山林などの販売費用についてのAさんからの質問です。

 

Aさん(75歳、女性):
母から相続した別荘地についての質問です。別荘地の売却を委託するにあたって、不動産の仲介業者から販売業務費用として、546,000円を前払いするよう請求されたので支払いました。媒介契約は締結していません。
不動産取引ではこのような前払いが習慣としてあるのでしょうか?

 

 数十年前に購入、あるいは相続した別荘地や原野、山林など、「売りたくても売れない土地」を所有しておられる方をターゲットにした、詐欺まがいの相談事例です。
 Aさんは、費用を払った後、不安になって訪ねて来られました。
 所有者は、「売りたくても売れない土地」だとわかっていても、「ひょっとしたら売れるかもしれない!」という期待に、「このチャンスを逃すと取り返しがつかない!」という考えにおちいってしまいがちです。一方、相手方の業者は、その心理に付け込み、「買い希望の客がいる」ことをにおわせて近づいてきます。その結果、Aさんは、つい安易に費用を支払ってしまったのでしょう。
 
 今回の相談のケースでは、相手方の不動産の仲介業者(以下、「宅建業者」と言います)が、法律や行政の指導に反した営業を行った可能性があります。
 そこで、不動産の売却の媒介をする宅建業者が、「どのような費用をどのようにして請求することが認められているか」を説明しますので、Aさんの場合に問題になるような行為がなかったかを確認して下さい。

 

≪「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」を参考にしたまとめ≫

●宅建業者は、媒介契約を締結する前に、その依頼者に不動産取引の全体像や受託しようとする媒介業務の範囲について、書面を交付して説明します。ここで、媒介業務に対する報酬の額は、国が定めた限度額の範囲内でなければなりません。

●宅建業者は、媒介業務を行なうにあたり、指定流通機構への情報登録はもちろんのこと、通常の広告、物件の調査等のための費用は、宅建業者の負担になります。ただし、宅建業者が、依頼者から特別に広告の依頼や遠隔地への出張の依頼を受けたときは、あらかじめ依頼者に請求する費用の見積りを説明し、実行しなければなりません。

●宅建業者自らが媒介業務以外の関連業務を行う場合には、媒介業務との区分を明確化するために、媒介契約とは別に業務内容や報酬額等を明らかにした書面により契約を締結しなければなりません。また、宅建業者がコンサルティング業務を行う場合には、あらかじめ契約内容を十分に説明して依頼者の理解を得た上で契約を締結し、その成果物は書面で交付しなければなりません。

 

 整地や草刈り、ゴミ処理、測量などを施し、看板や広告手法に工夫をこらすなど、さまざまな販売努力を行なうことは、不動産の売却を促進する効果があり、これらの内、媒介業務以外に要する費用は、原則として売却を依頼する所有者の負担です。
 しかしながら、「売りたくても売れない土地」を小手先の手法で流通させるのは簡単ではありませんし、「売れない土地」の中には、「実質的に、負(マイナス)の財産」になってしまっている不動産もたくさんあります。
 
 したがって、「売りたくても売れない土地」の媒介を依頼する際には、
①宅建業者が適切な媒介業務を行っているか
②費用が発生する場合は、予めそれらに要する費用の根拠や、必要とする理由を依頼者に示しているか
③宅建業者が媒介業務以外の関連業務を行う場合の手順などは適切か
などの確認は勿論、依頼者自らが費用対効果やリスクなどを検討し把握する必要があります。
 ということは、宅建業者が不動産の売買の媒介にあたって、外注見積もりの提出や関連業務の契約をしないで、依頼者にそれらの費用の請求をすることは、"不動産取引の慣習ではない"ということですね。

 

 それでは、Aさんはどのようにすれば良かったのでしょうか。支払ったお金は戻ってくるのでしょうか?

 

 それでは、Aさんはどのようにすれば良かったのでしょうか。支払ったお金は戻ってくるのでしょうか?

 

 「Aさんが支払ったお金が戻ってくるかどうか」実際のところはわかりません。
 相手が宅建業者で宅建業法に抵触していると思われる場合、その業者が所属する業者団体の相談窓口や業者の監督官庁である都道府県(または、国)の担当窓口で相談し、その指導により一部あるいは全額が返却される可能性はあります。
 しかし、草刈りや管理などの委任行為で、売買の媒介業務や関連業務ではない費用の支払いとして、宅建業法の範囲外と解釈されることもあります。このように、宅建業法に抵触していない場合には業者団体の窓口では対応できないので、その場合は警察や弁護士などへの相談が必要です。
 不動産の売買において、別荘地や山林、原野などの「売りたくても売れない土地」がその対象であるとき、国が定めた媒介報酬の限度額が媒介業務の負担と責任と比較して著しく低くなることから、宅建業者が媒介業務を受託するのは難しいと思っておいて間違いないでしょう。
 したがって、宅建業者が正当な経済行為として売却の話を持ちかける場合には、「その地域の売買に精通し、多数の売買媒介実績がある」「買い希望者の依頼で動いている」「不動産コンサルティング業務として実施する」など、何らかの背景・理由があるはずです。しかし、通常、一般の消費者がこれらを読み取ることは簡単ではありませんので、もし依頼者が不動産の売買にあまり詳しくないなら、大阪宅建をはじめ不動産関連団体が窓口となる相談所に相談したり、信頼のおける不動産業者などにコンサルティングを委託して、媒介、代理やセカンドオピニオンを求められるのが良いでしょう。

 

 "「怪しい」と感じたら契約する前に、また費用代金を払う前に相談するのが一番!"ということですね。

 

 まさに、"その通り!"です。
 なお、今回のようなケースでは、相手が免許を受けた宅建業者でない場合もあります。不動産の売買や売買関連業務で、宅建業者でない業者から受けた被害を救済するのは、より一層困難を伴いますので注意が必要です。

 

 

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