不動産取引に関する知識

「定期建物賃貸借について」

2016年5月20日

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 こんにちは。今回は今住んでいる賃貸マンションの2LDKから3LDKへ引越しを検討しているAさんからの相談だよ。

 

 具体的にはどのようなこと?

 

 Aさんによると、たまたまお昼前、気に入った賃貸物件を見つけたので物件資料をよく見ていたら「定借(ていしゃく)」って書いてあったんだって。どういうことなの?

 

 うむ、「定借(ていしゃく)」というのは「定期建物賃貸借(ていきたてものちんたいしゃく)」のことだね。

 

 普通の賃貸借とどう違うの?

 

 それはね、普通の賃貸借契約は、「正当事由」がある場合でなければ、賃貸人(貸主)から契約の更新拒絶や解約の申し入れができないこととされているんだよ。これに対し、契約期間が満了することによって更新されることなく、確定的に賃貸借が終了する賃貸借のことを定期建物賃貸借というんだよ。

 

 なるほど。そういうことなんだね。

 

 それと、定期建物賃貸借は、借地借家法第38条に規定されているんだけど、成立要件として、「公正証書等の書面によって契約する」時に限って、定めることができるものとされているんだ。(法第38条第1項)
 この場合、貸主は借主に対して、契約の更新はなく、期間の満了とともに契約が終了することを、契約書とは別に予め書面を交付して説明しなければならないんだよ。(法第38条第2項)
 貸主がこの説明を怠ったときは、その契約は定期建物賃貸借としての効力は否定され、契約の更新のある普通建物賃貸借の契約となるのだよ。

 

 博士、定借定期建物賃貸借と普通建物賃貸借の違いをもっと詳しく教えて。

 

 わかった!ではこちらの表を見てごらん。

 

(参考)定期建物賃貸借契約と普通建物賃貸借契約との比較

  定期建物賃貸借契約 普通建物賃貸借契約
1.契約方法 ①公正証書等の書面による契約に限る
②さらに、「更新がなく、期間の満了により終了する」ことを契約書とは別に、あらかじめ書面を交付して説明しなければならない
書面でも口頭でも可
2.更新の有無 期間満了により終了し、更新はない 正当事由がない限り更新
3.建物の賃貸借期間の上限 無制限 2000年3月1日より前の契約・・・20年
2000年3月1日以降の契約・・・無制限
4.期間を1年未満とする建物賃貸借の効力 1年未満の契約も可能 期間の定めのない賃貸借とみなされる
5.建物賃借料の増減に関する特約の効力 賃借料の増減は特約の定めに従う 特約にかかわらず、当事者は、賃借料の増減を請求できる
6.借主からの中途解約の可否 ①床面積が200㎡未満の居住用建物で、やむを得ない事情により、生活の本拠として使用することが困難となった借主からは、特約がなくても法律により、中途解約ができる。
②①以外の場合は中途解約に関する特約があればその定めに従う
中途解約に関する特約があれば、その定めに従う

 

 では博士!定期建物賃貸借契約を結んでその期間が満了すれば、必ず出ていかなければいけないということなの?

 

 うむ、この契約は期間が満了すれば、確定的に契約は終了するんだよ。契約期間が1年以上の場合は、貸主は期間満了の1年前から6か月前までの間(通知期間)に、借主に契約が終了することを通知する必要があるわけだ。期間満了後、引続きその建物を使用することについて賃貸人及び賃借人双方が合意すれば、改めて再契約をし、引き続きその借家への居住を続けることもできるんだよ。

 なるほど。
 それとね、さっきの表の「1.契約方法」に「公正証書等の書面による契約に限る」ってあったけど、公正証書でないといけないの?

 

 そうだね。定期建物賃貸借契約は、公正証書などの書面により締結する必要があるんだけど、必ず公正証書でないと成立しないわけではないのだよ。もちろん、市販や独自に作成した書面で契約しても有効だよ。

 

 でも博士、書面で実際に説明したかどうかは、どうやって記録に残しておいたらいいの?

 

 賃貸人は、賃借人にこの説明をした場合、その書面を交付したことと引換えに受領証を受け取るなどして、その後のトラブルにならないよう準備しておくことが大事だね。

 

 それと博士、賃貸人がうっかり契約が終わることを賃借人にお知らせするのを忘れていて、通知期間がたってからお知らせしたらどうなるの?

 

 賃貸人が通知期間経過後に通知した場合、その通知が到達した日から6か月間は、賃借人は建物を引き続き使用することが出来るよ。でもその後は、再契約が整わなければ、建物から退去することになるのだよ。

 

 ところで、定期建物賃貸借契約って昔からあるの?

 

 平成12年3月1日から施行されたんだよ。それ以前に締結された居住用建物の普通建物賃貸借契約は合意解約しても同じ建物について定期建物賃貸借契約を結ぶことはできないんだよ。ただし、居住用以外の建物(事業用)については、普通建物賃貸借契約を合意の上解除し、新たに定期借家建物賃貸借契約を結ぶことはできるんだ。

 

 なるほど。わかりました!

 

 賃貸人、賃借人それぞれ将来に不安や問題を残したくないからちゃんと書面で契約してお互いの意思を確認しておこうね。

 

 よく分かったよ。ありがとう!やっぱりお互いの信頼関係は大事だね。
 その通りだよ。もしわからないことや不安に思うようなことがあれば、契約前に大阪宅建協会をはじめとする不動産関連団体が窓口となる相談所などで、相談をしてみると良いよ。

 

 ライター 西本 淳一(北摂支部会員)

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