不動産取引に関する知識

「土地の瑕疵担保責任について」

2016年6月29日

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 こんにちは。今回は不動産を売却するAさんからの相談で土地の瑕疵担保責任についての質問だよ。

 

 前に中古物件の瑕疵担保責任(第25回Q&A)については説明したよね。

 

 そうだったね。

 

 では、今回は土地の瑕疵担保責任について話をしてみよう。

 

博士、土地の瑕疵担保責任ってどういうことをいうの?

 

 そうだね。例をあげてみると、法律的瑕疵(法令上の建築制限や権利関係等)、物理的瑕疵(軟弱地盤、土壌汚染等)、環境的・心理的瑕疵(近隣の嫌悪施設や事故物件等)等があげられるね。

 

 どこが建物と違うの?

 

 そうだね。建物との違いは物理的瑕疵によく表れているんだ。

 

 物理的瑕疵?博士もう少し分かり易く説明して。

 

 普通、土地は駐車場でもない限り建物を建てる目的で購入するだろ?

 

 そうだね。おうちを建てるために買うね。

 

 その土地の地盤が弱かったり土壌汚染があると、建物を建てることができなかったり、建築することに障害が出て、土地としては瑕疵となるんだ。

 

 なるほど。そこが土地の瑕疵の特徴なんだね。

 

 また、土地は引き渡されてから建築にかかるまで計画や設計等に時間や費用を必要とする為、土地の瑕疵が原因で建築が進まないとなると大きな紛争にもつながるんだ。

 

 大きな紛争ってどういうこと?

 

 建物の場合は売買契約で一旦契約は完結するけど、土地の場合は建物を建てるのに請負契約等とも関連するので、他の不動産取引にも影響を与えかねないんだ。

 

 なるほど。それで問題が大きくなるんだね。

 

 だから土地についての瑕疵は、建物以上により慎重に調査する必要があるんだよ。では、具体的に土地の瑕疵について見ていこう。

 

 博士よろしくお願いします。

 

 まず、土地の瑕疵の具体例を示してみよう。

 

 「物理的瑕疵の主な例」

 1.土地の境界についての越境や侵食

 2.過去の浸水等の被害や状況

 3.地盤沈下や軟弱地盤による地質における障害

 4.擁壁(のり面を支える壁)の不良

 5.地中埋設物

   (他人所有の生活供給管、前建物の基礎や瓦礫、埋蔵文化財(遺跡等))

 6.土壌汚染 ‥‥‥

 

 いろいろあるんだね。

 

 そうなんだ。例を見る限り、表面上ではなかなか分からないだろ?

 

特に、土壌汚染なんかどうやって調べるの?

 

 行政機関で調べたらわかるよ。専門家に土壌調査をしてもらってもし汚染物質が発見された場合には、除去や土の入れ替えによって大きな費用が生じ、売買価格を超過することもあるんだ。

 

 へえ~、そのことを知らずに、土地を売ったり買ったりしたら大変だね。

 

 そうなんだ。

 

 じゃあどうすればいいの?

 

 まず、売主は売却する土地(物件)について、以前の使用者がどの様に利用していたか、また水はけや地盤の状態はどうであるか、その他心配となるような予兆(地盤沈下等)等、売主にしか分からない情報を媒介業者や買主に告知することが大切だよ。

 

 なるほど。

 

 また、売主は自らが瑕疵担保責任を負わなければならないことをよく認識したうえで、物件の可視化に努めることが必要なんだ。 

 

 物件の可視化?

 

 そう、前回(第25回中古物件の瑕疵担保責任)でも説明したように、売主が宅建業者の場合は隠れた瑕疵、すなわち買主が知らない(不注意を除く)瑕疵について責任を負わなければならないんだ。その為、売主は予め瑕疵についての不安や不明な点を、専門家(調査会社、建築士、地質検査技師等)に調査依頼することも必要なんだ。
 また場合によって契約時に、売主は調査や検査の機会を買主に与えることも必要だね。

 

 なるほど。良いも悪いも含めて、買主への情報提供が必要なんだね。

 

 物件の可視化に努めることによって、売主と買主とは公正な売買価格を決定することができるんだ。

 

 売主の説明義務や責任は分かったけど、調査や瑕疵担保責任について媒介業者に義務や責任はないの?

 

 媒介業者は宅建業法に基づく調査義務や重要事項説明責任はあっても、土地の特別な調査や検査義務まではないんだ。また、瑕疵についても売主と異なり、責任を負うこともないんだ。 

 

 じゃあ、媒介業者にはどんな義務や責任があるの?

 

 第一に、媒介業者は取引を安心安全に導く義務がある。その為、媒介業者は売主に瑕疵担保責任があることを十分理解してもらい、物件によっては買主と協力し、地質調査や検査をアドバイスして、事前に問題点を取り除くよう進める必要があるんだ。また、契約した後、万一瑕疵が判明した場合でも、その対処方法や手段を売主と買主の間で売買契約書の中で取り決めておくことも媒介業者の責任だね。

 

 売買契約書での取り決め?

 

 売買契約書に契約本来の目的を定めることによって、売主の責任範囲を具体的に明確にしたり、瑕疵担保期間を限定することによって取引を安定させたりすることも必要だね。
 取引の安定ってどういうこと?

 

 瑕疵担保責任の期間は、売主が宅建業者の場合は物件の引き渡しから2年以上とする特約以外は瑕疵を知った時から1年以内とする民法よりも不利な特約は無効となるんだよ。でも、売主が一般消費者の場合、この瑕疵担保責任の期間は、民法上当事者の合意によって変更が可能なんだ。瑕疵担保責任を負わないという特約も有効となるし、例えば3~6ヶ月前後で区切ることもできるんだ。

 

 3~6ヶ月?

 

 通常、土地を購入してから基礎や土木等の工事に取り掛かるのに半年ほどの期間を要するだろ?その為に、少なくともその期間内は瑕疵担保責任の期間として定めたりするんだ。

 

 なるほど。買主の購入目的によって、瑕疵担保期間を定めるんだね。

 

 そうなんだ。媒介業者は取引を安心安全に完了する為にも、売主、買主双方が納得できるように契約書で取り決めを行うんだ。

 

 その為にも、経験豊富な媒介業者さんに依頼することが大切だね。

 そうだね。特に、相続物件や瑕疵の恐れがある物件を売却するにあたっては、単に会社の規模の大小ではなく、経験豊富で高い実務能力を供なった信頼できる媒介業者を選ぶ事が大切だよ。

 わかりました!博士ありがとう。

 

 なお、瑕疵とは「通常備えていなければならない品質・性能を欠いている状態」とされており、売主が瑕疵担保責任を問われた場合、契約の目的によっては瑕疵として取り扱われる場合や扱われない場合もあるので、瑕疵の判断は難しいんだ。
 もし、分からない場合や不安に思うようなことがあれば、法律の専門家に尋ねることが大切だよ。
 できれば、売買契約の前に大阪宅建協会をはじめ不動産関連団体が窓口となる相談所まで相談して下さいね。

 

 ライター 西井 幸男(なにわ東支部会員)

 

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