不動産取引に関する知識

「クーリング・オフ制度について」

2016年7月28日

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 こんにちは。今回は一般消費者のAさんからの相談で売主の宅建業者から物件を案内してもらい、あまりよく考えずに近くの喫茶店で買受けの申込みをしたみたいなんだ。でも、よくよく冷静になって考えてみると自分の思っていた条件とはちがうからやっぱりキャンセルしたいけど、既に買受けの申込みをしてしまったという相談だよ。博士、こんな場合どうすればいいの?

 

 物件の案内中に「わぁ、いいな」と思いあまりよく考えず、衝動的に申込みをしてしまったようですね。一昔前はお客さんを温泉旅行に連れて行き、ドンチャン騒ぎ。いい気分になったところで、「さぁこの書類にサインを・・・」。といったこともあったようだね。しかし契約は契約。買った以上はお金を払わなければならない。これでは一般消費者の方がかわいそうすぎるよね。たくっちくん、そう思わないかい?

 

 まったくそうだよね。温泉旅行の旅館で契約するなんて、ちゃんと理解して正しく判断できるのかなぁ?ねえ博士、こんな場合、契約をやめることはできるの?

 

 これから説明する制度を使えば、Aさんは契約を解除できるよ。

 

 どういうこと?

 

 それは、「クーリング・オフ」という制度があるからなんだ。「頭を冷やせ」といった感じかな。どういう制度かというと、宅建業者が売主で、宅建業者でない買主が、「正しい判断がしづらい場所」で契約や申込みをした場合、その契約を解除したり、申込みを撤回したりすることができるという制度なんだよ。これは宅建業者が売主で宅建業者でない買主の場合のみ適用される制度で、売主も買主も宅建業者、また売主も買主も消費者、売主が消費者で買主が宅建業者の場合はこの制度は適用されないんだ。繰り返して言うけど、クーリング・オフ制度の適用があるのは宅建業者が売主で宅建業者でない買主の場合だけなんだ。

 

 どうして売主が宅建業者で買主が宅建業者でない場合だけなの?

 

 売主である宅建業者はその道のプロだよね。それに比べて買主は素人さんだよね。そうするとプロである業者が素人さん相手に好き放題勝手なこと、また素人さんに不利なことをするかもしれないよね。
 だからその暴走をくいとめ、歯止めをするためにこういう制度があるんだよ。

 

 素人である買主を守るためだね。

 

 そのとおり。

 

 じゃあ、博士、Aさんはどんな場所でもどんな時でもこの「クーリング・オフ」ができるの?

 

 どんな場所でも、どんな時でも、というわけにはいきません。そこにはいろいろと制限があって、申込みや契約が「正しい判断がしづらい場所」(=「事務所等」以外の場所)で行われた場合、クーリング・オフができます。逆にいうと「正しい判断ができる場所」(=「事務所等」)で行われた場合は、クーリング・オフができないことになります。ですからこの「事務所等」というものを限定すればそれ以外の場所では「クーリング・オフ」ができるということになります。では、「事務所等」とは、どういった場所をいうのかみていこう。

 

 よろしくお願いします。

 

 クーリング・オフができない「事務所等」とは①売主である宅建業者の事務所 ②その売主から依頼を受けた媒介・代理業者の事務所 ③売主もしくは媒介・代理業者の土地に定着している専任の取引士の設置義務のある A・案内所、B・一定の展示会などの催しを実施する場所、C・継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で、事務所以外の場所。例えば、契約締結のできるマンションのモデルルームは事務所等に該当します。④買主が自ら申し出た場合の買主の自宅・勤務先となっています。例えば買主が自ら申し出た取引先の銀行はこれには該当しません。自宅・勤務先のみです。また、申込みと契約の場所が異なる場合、申込みの場所で判断します。買主が意思決定をしたのは申込みの時点だからです。

 

  申込みした場所   契約した場所   クーリング・オフ
   事務所等   事務所等以外   できない
  事務所等以外    事務所等    できる

 

 今回、Aさんは喫茶店(事務所等以外)で申込みをしているのでクーリング・オフができるんだよ。もし、Aさんが事務所等で申込んで喫茶店で契約したならばクーリング・オフはできないことになるよ。

 

 Aさんよかったね。ところで博士、買主が自ら申し出た場合の買主の自宅や勤務先ではクーリング・オフができないんだよね。じゃあ、宅建業者が申し出て買主の自宅・勤務先で申込みをした場合はどうなるの?

 

 宅建業者が買主の自宅・勤務先でと申し出た場合はクーリング・オフができます。これは、例えば宅建業者が自宅等に押しかけて強引に契約を迫ることを防止するためだね。買主が、自ら申し出た場合だけクーリング・オフができないことになります。買主が、自ら自宅・勤務先を指定しているわけですから「正しい判断ができる場所」になるよね。

 

 なるほど。博士よくわかりました。もう一つ聞きたいんだけど、クーリング・オフができなくなる場合ってあるの?

 

 まず、①時期に関することで宅建業者からク-リング・オフができる旨およびその方法を書面で告げられた日から起算して8日間経過したときは、クーリング・オフはできなくなります。考え直す時間を与えられたにもかかわらずク-リング・オフをしないということは、買主の購入意思は固まっていると考えられるからです。なお、この8日間は書面で告げられた日を算入して数えます。次に②行為に関することで、買主が売主から引き渡しを受け、かつ、代金を全額支払ったときは、クーリング・オフはできなくなります。これは両方そろってはじめてできなくなります。引き渡しを受け、かつ、代金の一部を支払ったにすぎない場合は、まだ、クーリング・オフができます。なお、登記は関係ありません。

 

 引き渡しを受け、代金も全額支払ったのに「正しい判断ができなかった」とはさすがに言えないよね。では、具体的にどうやってクーリング・オフをすればいいの?博士、教えて。

 

 具体的にはクーリング・オフは書面で行います。配達証明付き内容証明郵便でするのが一般的です。これはクーリング・オフがなされたことを証拠付けるためです。そして、その効果は書面を発した時、つまり内容証明郵便を出した時に効力が生じます。通常、意思表示は、相手方に到達した時に効力が生じるのが原則ですが、売主である宅建業者が所在不明だったり、郵便配達の事情で到達が遅れたりする場合も考えられるので、買主保護の観点から発信主義がとられています。

 

だけど既に手付金やその他のお金を支払っていた場合はどうなるの?

 

 たくっちくん、なかなか鋭い指摘だね。クーリング・オフは無条件の撤回・解除なので、宅建業者は受け取っていた手付金やその他の金銭をすみやかに返還しなければなりません。また損害賠償や違約金の支払いを請求することもできません。

 

 これなら買主も安心だね。Aさんも、もし、お金を支払っているとしたら返してもらえるんだね。

 

 そうだよ。そして、このクーリング・オフ制度に反する特約で、買主に不利なものは無効です。そのような特約を許してしまうと、買主保護のためにクーリング・オフの制度を設けている意味がなくなってしまうからね。

 

 博士、いろいろとありがとうございました。AさんもこのQ&Aを参考にして早目に業者に伝えてほしいね。

 

 わからないことや不安なことがあれば、大阪宅建協会をはじめとする不動産関連団体が窓口となる相談所までご相談ください。

 

 

 ライター 長村 良二(北摂支部会員)

 

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