不動産取引に関する知識

「定期借地権について」

2016年12月26日

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 こんにちは。今回は定期借地権について具体的に教えてください。というAさんからの質問だよ。

 

 2016年5月に掲載した「定期建物賃貸借」に引き続き、今回は契約期間に定めのある土地の賃貸借についてだね。

 

 定期借地権ってどういうことをいうの?

 

 そうだね。それにはまず、借地について話をしておこう。

 

 借地って土地を借りる契約のことでしょ?

 

 そうだけど、賃料を払って駐車場や臨時設備の設置等一時使用の為に土地を借りる契約と、建物を建てる(所有する)為に土地を借りる契約とでは、大きな違いがあるんだよ。

 

 へえー大きな違い?

 

 というのは、土地の利用方法によって適用される法律が異なるんだ。

 

 適用される法律って?

 

 そもそも駐車場等の場合には、生活一般の決まり事を定めた民法が適用されるし、建物を所有する目的の場合には、借地借家法という特別な法律が適用されるんだ。

 

 特別な法律?

 

 簡単に言うと、貸主である地主の権利を制限することによって、借主である借地人の権利を保護するために定められた法律なんだ。

 

 借地借家法って借地人さんを保護するために作られた特別な法律なの?

 

 そうなんだ。この法律のおかげで借地人は借地権という権利で守られるんだ。

 

 守られるってどういうこと?

 

 例えば、借地人は契約期間が満了したとしても、建物が存在していれば、地主に正当な事由がない限り土地を借り続けることができるし、また期間満了時に建物を買い取ってもらう事も出来るんだ。

 

 土地を借りたまま、返さなくていいの?

 

 そう、正当な事由がない限りね。

 

 正当な事由って?

 

 例えば、以下のようなことだよ。

 

 ※正当事由とは

 1.地主及び借地人が土地の使用を必要とする事情

 2.借地に関する従前の経過

 3.土地の利用状況

 4.立ち退き料(地主が正当事由を捕捉するための補償)

   以上を比較し、地主・借地人の相対的により必要性の高いのはどちらかで判断

 

 地主さんは貸した土地を返してもらうのに、ちゃんとした理由がいるんだね。

 

 そう、地主と借地人のどちらがその土地をより必要としているかで判断され、借地人は場合によって半永久的に土地を借り続けることができるんだ。

 

じゃあ、地主さんは土地を貸さなくなるよね。

 

 そうなんだ。そのため平成4年に借地借家法が施行され、今回説明する定期借地という制度が設けられたのと、正当事由も明確化され、地主の立場が見直されるに至ったんだ。

 

 なるほど。地主さんにとって土地を貸しやすくしたんだね。

 

 そう、土地の供給を増やすためにも、また土地の有効利用を促すためにも、この定期借地制度が期待されているところなんだ。

 

 地主さんにも、借地人さんにとってもありがたい制度なんだね。

 

 では、普通の借地権とは異なる定期借地権について簡単に説明してみよう。
  1.契約に更新がないこと。定期借地権は普通借地権(借地借家法改正以前の借地契約を含む)とは異なり、契約の更新は一切なく、期間満了によって借地権が消滅すること。
  2.建物を建替えることによる借地期間の延長は無いこと。
  3.借地人は期間満了後の建物買取り請求が出来ず、建物を取り壊したうえで明け渡さなければならないこと。(建物譲渡特約付借地権を除く)

 

 なるほど。これなら地主さんは安心して土地を貸せるよね。

 

 では次に、定期借地権にはどの様な種類があるかを表にしてみよう。表に見るように一般定期借地権・事業用定期借地権・建物譲渡特約付借地権の3つに分かれるんだ。

 

 

 契約期間によって50年以上、10年以上50年未満、30年以上と分かれるんだね。

 

 まず、「一般定期借地権」は契約期間が50年以上とされており、住宅に利用されることが多いけど、用途は居住用から事業用と幅広く、契約方法は「契約更新が無いこと。建物建替えによる契約期間の延長が無いこと。建物の買取り請求ができないこと。」を書面にして契約しなければならないんだ。

 

 内容を書面にしてはじめて定期借地権とみなされるんだね。

 

 また、「一般定期借地権」は建物の耐用年数と契約期間を合わせることで、新築の分譲マンションにも利用され、建替えも容易に進めることができる為、都心部では多く利用されているんだ。

 

 次の「事業用定期借地権」ってどんなの?

 

 「事業用定期借地権」は、存続期間によって2種類あるんだよ。1つは10年以上30年未満の場合で、契約の更新がなく、建物を建替えることによる期間の延長がなく、建物の買取り請求ができないんだ。もう1つは30年以上50年未満の場合で、契約の更新がないこと、建物を建替えることによる期間の延長がないこと、建物の買取り請求ができないことを特約で定めることができるんだよ。いずれも居住用を除く事業用の建物の所有を目的として、中小の店舗から大規模商業施設また病院などの福利厚生施設等に至るまで活用範囲の広い定期借地権なんだ。 

 

 なるほど。契約期間や用途も幅広いんだね。

 

 そう。その為、契約方法は公正証書という書面で契約する必要があるんだ。

 

 ※公正証書とは法務大臣が任命する公証人(裁判官、検察官、法務局長、 弁護士などを長年つとめた人から選ばれる。)が作成する公文書で、公証役場で作成を依頼します。

 

 なるほど、契約の方法にも違いがあるんだ。

 

 「建物譲渡特約付借地権」は、契約期間が30年以上で、期間満了後に地主が建物を買い取る事を特約した、従来の借地権を取り入れた特徴のある定期借地権なんだ。
 土地を返すときに、地主さんに建物を買い取ってもらうの?

 

 そう。それによって借地人は土地を更地にして返還する必要がなくなるんだ。

 

 借地人さんはありがたいよね。ところで契約方法には決まりがあるの?

 

 書面でなくても有効なんだけれど、後で揉めないためにも書面にする方がいいよ。決まり事や条件をきっちり書き残しておかないと、引き継ぐ人も困るからね。

 

 最後に定期借地権でほかに注意しなければならないことはないの?

 

 そうだね。定期借地権に限らず借地契約は契約期間が長くなるため、様々な状況変化を想定する必要があるね。

 

 たとえば?

 借地人の立場であれば、居住用の場合は転勤等による建物の売却、事業用の場合は移転や撤退に伴う中途解約など事情の変化に応じた取り決めも必要だね。
 また、地主側の立場からいえば、相続や資産継承なども含め、税務上でも慎重に考える必要がある。

 未来に向かって、色んなことを考えないといけないんだね。

 

 そうだね。もし、分からない場合や不安に思うようなことがあれば、契約の前に大阪宅建協会をはじめ不動産関連団体が窓口となる相談所まで相談して下さいね。
 また、契約する際には法律の専門家である弁護士や税務の専門家である税理士に尋ねることも大切だよ。

 

 ライター 西井 幸男(なにわ東支部会員)

 

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