不動産取引に関する知識

「相続物件の売却について」

2017年12月25日

category:

 「当ホームページ」に掲載している記事、写真、イラスト、動画などのコンテンツの著作権は、(一社)大阪府宅地建物取引業協会(以下、大阪宅建協会)または 正当な権利を有する第三者に帰属しておりますので無断転載について禁止しております。

 

 

下記記事のPDFファイル
(容量:469.7KB PDF形式)いったんPCへ保存したのち開いて下さい。

 

 こんにちは。今回は亡くなったお母さんが住んでいた家を空き家にしておくのも心配なので、売却したいというAさんからの質問だよ。

 

 そうだね。空き家を放置しておくと植木が隣家に越境したり、塀が倒れ通行人に怪我をさせたりすることもあるから心配だね。その場合、持ち主が責任を問われ、時には損害賠償請求をされることだってあるんだ。

 

 そんなことがあるの?

 

 何の落ち度がなくても、持ち主には建物を管理するうえで責任があるからね。 また、土地についても越境等の問題があった場合、時効によって自分の土地が他人のものにもなりかねないんだよ。

 

 そうと聞けば、なるべく早いうちに対応しないといけないね。

 

 そう、利用する予定がない不動産は、空き家として社会問題化しているからね。

 

 じゃあそれなら、相続物件を売却するにはどのように進めればいいの?

 

 まず、誰がその不動産(空き家)を相続したかを明らかにしなければならないね。

 

 Aさんじゃないのかな?

 

 遺言書でAさんが相続人になっていれば別だけど、他に相続人がいる場合は確認が必要だね。

 

 遺言書は無いらしいけど、Aさんが長男らしいよ。

 

 Aさんには他に兄弟などの相続人はいないのかな?

 

 お姉さんと妹さんがいるらしいよ。

 

 それならば、相続人全員の合意によって相続登記をする必要があるね。

 

 相続登記?

 

 その不動産を誰が相続したかを登記によって明らかにするんだ。今回はお母さんが亡くなったということだけど、土地と建物はお母さんの名義で登記されていたのかな?

 

 そこまでまだ調べていないみたい。

 

 以前から相続登記されずに放置され、亡くなったお父さんやお祖父さんなど他の名義のままになっている場合もあるからね。

 

 へえーそんなことがあるんだ。そんな場合はどうするの?

 

 その場合は遡って相続人を特定しなければならないんだ。

 

 そうなれば、相続人はAさんの兄弟だけとは限らなくなるの?

 

 そうなんだ。でも亡くなった人の名前では売却できないから、遺産分割協議書等により相続人を特定したうえで売却を進めなければならないんだ。

 

 遺産分割協議書?

 

 遺言書がない場合、相続財産は一旦相続人全員の共有の財産となるんだ。 その為、誰が相続人なのか、また誰が相続財産を相続するのかしないのかを協議し、その内容を書面にしたうえで相続人全員が署名し実印を捺印する必要があるんだ。その際に作成される証書を遺産分割協議書と言うんだよ。

 

 へえー

 

 今回も不動産を売却するにあたって、相続人全員が法定相続持ち分により共有で相続し、相続人全員が売主となる場合は、遺産分割協議書を作成せずに売却できるんだけど、その通りに進められない場合もあるからね。

 

 なるほど。相続人を特定したうえで、誰の名前で相続するかを遺産分割協議書で決めるんだ。

 

 そう。その際、他の現金や預貯金、株券等の相続財産や不動産内にある装飾品骨董品などの資産価値の高い物は、遺産分割協議の対象となるので注意が必要だよ。

 

 不動産に限らず、相続財産全部を遺産分割協議書によって決めるんだね。

 

 そうなんだ。そこで今回のように他の相続財産も含めて不動産を相続する方法として、3つの方法があるので説明しよう。1つ目は現物分割、2つ目は換価分割、3つ目は代償分割という方法だけど、次に詳しくみてみよう。

 

現物分割とは
最も一般的な遺産分割の方法で、相続財産の種類や数によって相続人を決め、単独で相続する方法。例えば不動産と株券と現金と相続財産があった場合。今回のように本人、姉、妹の3人で分割する場合、長男が不動産、姉が株券、妹が現金というように、各相続人が現物でそれぞれを相続したうえで、長男が不動産を相続登記し売主となって売却する方法。但し、分割はしやすいが価値がそれぞれ異なるため、公平な分配方法とならない可能性が高い。

 

換価分割とは
相続財産が不動産だけの場合は、相続人全員で相続不動産の売却代金、期限、売却取り分を決めたうえで、売却手続のできる相続人を選びその名義に登記した後、売却して売却代金を相続人同士で分け合う方法。例えば今回の場合は長男の名前で一旦相続登記をし、長男が売主となって相続不動産を売却し、売却後に売買代金を分ける。
尚、換価分割で不動産を売却する場合、相続財産を換価することによって得た現金を、どのような割合で分配するのかを遺産分割協議書に記載して、登記申請を行う必要がある。もし、遺産分割協議書になにも記載をしなければ贈与税を課されてしまう可能性があるので注意。
その際、遺産分割協議書に①換価分割であること。②売却代金の分配割合を明記すること。但し、相続不動産が希望通りの価格で売却できない可能性がある。

 

代償分割とは
前記のような現物分割や換価分割が不可能な場合、その不動産を単独で相続する相続人が、他の相続人に対して自らの金銭などを提供し、相続不動産を相続登記する方法。例えば今回は長男が不動産を単独で相続をし、その代わりに姉や妹に自分のお金を渡し遺産分割協議書を作成する。 その際、遺産分割協議書に代償分割の内容を明記すること。もし、遺産分割協議書になにも記載がなければ換価分割と同様に贈与税を課されてしまう可能性があるので注意。
尚、代償分割の場合代償財産が現金ではなく土地や株式の場合でも可能であるが、譲渡所得が生じる資産は、与えた側に譲渡所得税や住民税が課税される場合があり、受け取った側は不動産の場合は取得税や登録免許税が課税されたり、また、相続税がかかる相続については相続財産が過重されることになるので慎重に行う必要がある。

 

 

 色々な分割方法があるんだね。でも分割の協議がまとまらなければどうするの?

 

 遺産分割の協議がまとまらない場合には、家庭裁判所に「調停」を申し出ることもあるし、それでもまとまらない場合には裁判所に「審判」を受けなければいけないこともある。さらにその審判に納得できないときは「裁判」といった手続きをふまなければ解決しない場合もあるんだよ。

 

 そうなれば、売却どころではなくなってくるね。

 

 そうなんだ。だから売却する前に相続人同士で話し合いの上、どの様に相続財産を分配し、誰の名義で不動産を相続登記するかを決めておくことが大切なんだ。

 

 相続登記の準備ができれば、つぎにどうすればいいの?

 

 相続登記の目途がつけば、いよいよ売却してもらう媒介業者さんを探さなければならないね。

 

 少しでもいい条件で売却してもらう為に、何件かの業者さんに査定してもらうんだね。

 

 そうなんだけど、売却を依頼する業者を選ぶにあたっては、一般の売買に比べ慎重に選ぶ必要があるよ。

 

 それはなぜなの?

 

 相続物件は、通常の売却に比べ不明な点が多くあるからね。

 

 そうだよね。持ち主がいない今となっては、物件について詳しいことを聞く訳にもいかないものね。

 

 そうなんだ、建物の現在の状態や土地の境界、近隣との取り決めなど物件についての説明義務は売主の責任だからね。

 

 そうだよね。買主さんに物件についての大事なことを伝えないと、買った後でトラブルの原因にもなりかねないからね。

 

 そうなんだ。その為にも相続物件の売却については慎重にならなければいけない。場合によっては、建築士による建物のインスペクション(現状調査)や土地家屋調査士における土地・建物(未登記部分等)の測量や境界確認も必要となってくる。

 

 なるほど、そういったことも相談に乗ってくれる経験豊富な媒介業者さんを選ばなければならないね。

 

 また、相続物件の売却については、誰が相続するか、相続した後どうするかによっても税金が大きく違ってくることがあるので、遺産分割協議書を作成する前に税務の専門家である税理士さんや登記の専門家である司法書士さんに相談することが大切だね。

 

 不動産をちょっと高く売却できたとしても、税金を多く払わなければならないと元も子もなくなるものね。

 

 その為にも、相続物件の売却にあっては、相続の手続きから売却・税務申告に至るまで一連の手続きも含めトータル的に相談に乗ってもらえる媒介業者さんを探すのが一番早道ではないかな。

 

 そうだよね。いろんな情報を通して信頼できる媒介業者さんを探さなければならないね。博士どうもありがとうございました。

 

 ライター 西井 幸男(なにわ東支部会員)

 

 

トップへ戻る

(一社)大阪府宅地建物取引業協会

(公社)全国宅地建物取引業保証協会 大阪本部

〒540-0036 大阪府大阪市中央区船越町2-2-1
電話でのお問合せ先
Copyright © Osaka Takken Association. All Rights Reserved.