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「売主の説明義務について」

2020年6月 2日 category:

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 博士、今回は家を売るとき、気を付けなければならない売主の説明義務について教えてくださ~い。

 

そうだね、売主は家を売却する場合、まずは「買主に家を引渡す」こと。次に「買主に権利を移すこと(所有権移転登記をすること)」が主な義務だけど、他にもいろいろな義務があるからね。

 

へえ~ 売主は大変だね。

 

 普通、売主と買主との約束事は契約書で定めるんだけど、そのなかの一つにとても重要な説明義務というものがあるんだよ。

 

 それはどんな義務なの?

 

 通常、物を購入する場合、商品説明を受けるよね。例えば電化製品とか高価な商品などはこと細かにね。

 

 そう、説明書なんかに目を通すのも必要だもの。

 

 それにもまして土地や建物は個々に特徴があり、多種多様で一つとして同じものはないかからね。

 

 工場で作られた製品じゃないものね。

 

 そうなんだ。土地や建物はそれぞれの特徴をしっかり説明して理解してもらわないといけないんだよ。

 

 そうだよね。

 

 特に売買する不動産については、持ち主がよく分っているはずだからね。

 

 住んでいる人が一番よく知っているよね。

 

 そうなんだ。だから説明義務とは売主の買主に対する役目であり、契約上の付随義務の1つに当たるんだよ。

 

 なるほど。

 

 そのためには、告知書等によって漏れることなく正確な情報を買主に説明しなければならないんだ。

 

 どんなことを伝えればいいの?

 

 では、どの様なことを説明するかを次に見ていこう。

 

 博士よろしくお願いしま~す。

 

 通常、消費者同士の売買契約では、媒介にあたる仲介業者が重要事項説明書によって大切な情報を買主に説明することになっているよね。

 

 そう。宅建業者は法律に基づいた説明義務があるものね。

 

 これは宅地建物取引業者が売却する不動産について、専門家の立場から法律規制や権利関係などの重要な事項を買主に説明するものだけど、所有者でないと分からない情報も中にはあるからね。

 

 たとえば?

 

 それは、土地の特性であったり、建物の現状であったり、付近の環境であったり。
 日常の生活の中や、持ち主でないと気づかないことなんか?かな。

 

そう、そこで売主が気を付けなければならない情報を以下に示してみよう。

 

 

 

(土地に関する情報)

  地中埋設物、土壌汚染、水はけ、擁壁の状態、生活供給管の状態

(建物に関する情報)

  建物の傾き、ひずみ、雨漏り、アスベスト使用、耐震強度、修繕の履歴

(近隣環境)

  騒音、日照、採光、近隣の建築計画、反社会的勢力事務所等の嫌悪施設

(隣地関係)

  隣地境界・越境等、通行トラブル、隣家トラブル

(継承事項)

  ゴミ集積場所、近隣建築制限、将来の法規制、マンションの修繕計画

(心理的なもの)

  事件・事故・火災・自殺等による心理的な傷

 

 色々あるんだね。

 

 例えば、騒音や臭気などは人によって感じ方が違うけど、少なくとも売主自身が気になることを買主に説明しないといけないね。

 

 そうだよね。

 

 後からその説明を聞いていたら買わなかったということにならないように。でないと紛争になることもあるからね。

 

 トラブルはお互いに避けたいよね。

 

 説明不足によっては契約を解除されたり、損害賠償まで請求されたりすることもあるんだよ。

 

 それは大変だ!!

 

 さらに、この令和2年の4月から民法が改正され、売主にとっての説明責任はより重要になってきているんだ。

 

 というと?

 

 今までは、購入した不動産に契約成立時には隠れてわからなかった不具合があった場合、それは「瑕疵担保責任」という責任によって売主の責任となったんだ。

 

 なるほど。契約時点で気づかなかったキズは売主の責任だったのか。

 

 ところが今回の改正により、その「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」という責任に変わり、「隠れていたかどうか」ではなく契約書に「書かれていたかどうか」、すなわち契約内容が問題となるんだ。

 

 契約内容?

 

 通常、買主は不動産を購入する場合、何らかの目的をもっているよね。

 

 そうだよね。建物を建てるとか住まいにするとか、そのまま使うとは限らないもの。

 

 契約内容とは、契約目的や契約条件によって定まるものだから、買主の契約目的が果たせない場合、売主は「契約不適合責任」という責任に問われ契約違反になるんだよ。

 

 そうか、契約した目的に合わなければ、契約した意味が無いものね。

 

 そう、だから買主に対して詳細な説明をしたうえで理解してもらうことによって、契約目的に合うよう、すなわち「契約不適合」にならないように売主は説明責任を果たさなければならないんだ。

 

 より売主の説明義務が重くなったのか。

 

 例えば、新築するつもりで購入した土地が軟弱地盤で建築が困難であったり、建物が法律や近隣の申し合わせなどによって他の用途に変更できなかったり、住まいとして購入した物件が付近の騒音で思った通りの住環境でなかったり、と色々なことが考えられるよね。

 

 そうか それも契約内容によって「契約不適合責任」となるのか。

 

 過去に事件・事故、自殺、火災等があったなど心理的にストレスを感じさせる場合は、住まいとして「契約不適合責任」を問われる可能性もあるからね。

 

 だったら、そんな責任を未然に防ぐにはどうしたらいいの?

 

 そうだね。告知書等によって目的物の内容を明確にしたり、土地については契約前に地質や土壌の調査を行ったり付近の環境に注意を払ったり、既存の建物についてはインスペクション等によって状況調査をすることも必要だね。

 

 インスペクション?

 

 インスペクションとは、建築士等の専門家によって、主に柱や基礎、屋根など構造耐力上主要な部分や、外壁や開口部などの雨水の侵入を防止する部分についての劣化状態をチェックし、不具合の兆候を確認することなんだ。

 

 不具合がわかったときはどうするの?

 

 その場合は買主に状況を説明し、売主・買主双方で価格等の再検討や善後策も考慮のうえ買ってもらうんだ。

 

 それならば、売主・買主双方が安心して契約することができるよね。

 

 売主は現状を的確に説明することによって、買主にとって「契約不適合」とならないように工夫するんだよ。

 

 売主・買主の気持ちを一致させることが大事なんだね。

 

 そう、その為にも媒介にあたる業者が、現状を明確に書面等で確認し、色々な状況を加味したうえで契約書を作成する必要があるんだ。

 

 なるほど、それには経験豊富な信頼できる宅建業者さんに頼まなければならないね。

 

 また、リフォームしてから売るとか更地にしてから売るとか、ケースによっては物件の欠点も含め値引きの理由を記載したうえで売るなど、適切なアドバイスをしてもらう必要があるかもしれないしね。

 

 なるほど。

 

 場合によっては、将来の環境変化なども説明しないといけないこともあるので、宅建業者さんとは綿密に話し合っておく必要があるよ。

 

 そうだね、分からない点や不安に思うようなことがあれば、大阪宅建協会をはじめ不動産関連団体が窓口となる相談所まで相談して下さいね。

 

 

 ライター:西井 幸男(なにわ東支部会員)