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住宅確保要配慮者に対する居住支援について

2020年9月 3日 category:

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 博士、住宅確保要配慮者(じゅうたくかくほようはいりょしゃ)って、何ですか?

 

住宅確保要配慮者とは、高齢者、障がい者、低所得者、外国人などの賃貸住宅の住まい探しなどで敬遠されがちな方々のことだよ。

 

その人たちの住まい探しの支援をするっていうことですか?

 

 そうだね、以前から高齢者や障がい者の方々から、賃貸住宅を探しに宅建業者に行っても何軒も断られ、物件を紹介してもらえないなどという苦情が各市役所や消費者センター、社会福祉協議会、各種支援団体などに寄せられていました。

 

 えーっ、宅建業者がお客様を差別してはいけないんじゃないの。

 

 そうだね。宅建業者としても、長年にわたって(一社)大阪宅建協会などを通じて差別のない営業活動を行うように研修などを繰り返して行っているんだよ。

 

 だったら、なぜ高齢者や障がい者を断るんですか?

 

 本当はね、宅建業者としてはどのお客様も大切で、気に入られた住まいに入居してもらいたいんだよ。そのために、宅建業者は物件の貸主や管理業者にお客様のことを紹介するんだけど、貸主や管理業者が過去に何らかのトラブルなどがあったりすると断られるケースがあって、そのつど説得を繰り返していたけど聞き入れられなければ、辛いのですがお客様にお断りを伝えなければならない。

 

 そっかぁ、最終判断は貸主や管理業者が決めるんだもんね。

 

 今までそのようなことが繰り返し行われてきて、宅建業者としても消極的になってしまっていたんだね。

 

 宅建業者だけの問題ではなかったんですね。

 

 そうだね。これまで、宅建業者が高齢者、障がい者、低所得者、外国人などに賃貸住宅を仲介して契約をすませ入居した後に、家賃滞納、孤独死、事故・騒音などのトラブルがあった場合は、貸主や管理業者が対応を余儀なくされていたため、どうしても契約を敬遠する傾向にあったんだね。

 

 でも、そのような状況のことは、住宅確保要配慮者の方々や、役所などの相談を受ける人たちには伝わっていなかったんだね。

 

 そこで、大阪府では平成19年に高齢者や障がい者などの入居を拒まない賃貸住宅を登録する「大阪あんしん賃貸住宅支援事業」を制度化し、宅建業者や貸主や管理業者からの情報収集を始めたんだよ。

 

 一歩、前進だね。

 

ただ、実情としては「入居を拒まない」というところが足かせとなり、なかなか期待通りの登録物件が集まらなかったのが実情だったんだ。
そこで、平成27年に「Osakaあんしん住まい推進協議会」という居住支援協議会を設立し、インターネットに「あんぜん・あんしん賃貸」検索システムを立ち上げて、民間の賃貸住宅とその仲介を行う宅建業者、貸主、管理会社などの情報提供を始めたんだよ。そして、それと同時に住宅確保要配慮者が円滑に入居できるいろいろな環境整備を行うようにしたんだよ。

 

 具体的にはどういうことなの?

 

 それは、「入居を拒まない」とはいっても、トラブルがあれば、貸主や管理業者の協力任せのままでは限界があるので、高齢者、障がい者、低所得者、外国人などの、それぞれのトラブルに対する施策や協力企業・団体との連携を作って、貸主や管理業者の業務のサポートを行い、負担の軽減をはかるということだよ。私達(一社)大阪宅建協会も「Osakaあんしん住まい推進協議会」に参加し環境整備のための助言を提供しているよ。

 

 具体的にはどんなこと?

 

 たとえば、高齢者の入居に際しては、公営住宅などの低家賃の住宅の紹介や、民間賃貸住宅の貸主が気がかりな独居老人の孤独死や部屋の汚損に対して、安否確認のサービスをする会社の紹介や、もしもの時のために、火災保険会社による特殊清掃費用や遺品整理費用を補償する商品の開発などだよ。

 

 住宅確保要配慮者といっても、それぞれのケースによってサポートの内容が違うんだね。

 

 そうだね。障がい者の場合は身体的な障がい者と精神的な障がい者とでサポートの内容が異なるんだけど、身体的な障がい者の場合には、入居者個人の障がいをカバーして過ごせるような住宅の紹介や、必要に応じて住宅改造をするための国や市町村などの助成金制度の紹介を入居者や貸主にするんだよ。また、精神的な障がい者の場合は、医療機関や自立支援団体のケースワーカーなどと協力して、入居後のサポートの状況と障がい者デイサービスの利用の予定などを貸主に説明して、貸主の不安を和らげて理解し、協力してもらうようにするんだよ。

 

 低所得者の場合は、どうするんですか?

 

 低所得者とは、いわゆる生活保護受給者が主な人たちなんだけど、生活保護の中には住宅扶助費が有り、その住宅扶助費を家賃として毎月貸主に支払っていれば問題はないんだけれど、それを他に流用して家賃を滞納するという問題が今までたびたび起こり、貸主さんたちが泣き寝入りすることがあって、入居を拒むということが多かったんだけど、「Osakaあんしん住まい推進協議会」や(一社)大阪宅建協会などが各市町村に働きかけて、滞納を繰り返す入居者の貸主からの申請が有れば、住宅扶助費を直接貸主に支払う代理納付の制度を採用してもらえるように働きかけているんだよ。
 へぇー、協力してくれる市町村が増えるといいですね。

 

その他にも「Osakaあんしん住まい推進協議会」では、(公財)大阪府国際交流財団の~外国人のための生活ガイド~を、英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語などで紹介しているよ。
その中には、「緊急時の対応」や「健康と医療」に併せて、「くらしと住まい」では住宅の探し方や日本での暮らしのマナーなどが掲載されているんだよ。
また、貸主向けには日々の通訳を手伝ってもらえる会社やNPO法人を紹介したりしているよ。

 

 いろいろなケースがあるんだなぁ。

 

 そうだね。そしてさらに、賃貸住宅を借りる際に問題になるのが連帯保証人を頼める人がいないというケースがあるんだよ。

 

 一人暮らしのお年寄りとか、生活保護受給者や外国人の方たちには保証人を頼める人がいないっていうことが多いよね。

 

 そこで、最近では賃貸借契約の際に一般的になってきた賃貸保証会社に、保証人無しで賃貸保証を受けてもらえる商品を作ってもらうことになったんだよ。

 

 へぇー、いろいろとサポートしてもらえるサービスが増えてきているんですね。

 

 そうだね。これからは、これらの各種のサポートやサービスをそれぞれの住宅確保要配慮者に組み合わせ、貸主に入居後のトラブルの対応策を説明して不安を解消してもらい、契約に応じてもらえるようにするといいね。

 

 博士、これだけサポート体制が整っていれば大丈夫だね。
 ただこれらのサービスが整ってきても、これらを活用して住宅確保要配慮者をサポートしていくには、まず「あんぜん・あんしん賃貸」検索システムhttp://sumai.osaka-anshin.com/ を知ってもらうことと、窓口となる地域の行政の協力が必要なので、「Osakaあんしん住まい推進協議会」としては、府下の各市町村に居住支援協議会の設置を呼び掛けているんだよ。それと【入居拒否・入居差別相談窓口】や【生活保護における民間賃貸住宅の生活扶助費の代理納付相談窓口】などの窓口の案内をしているよ。

 

 それに、宅建業者の協力も必要だよね。

 

 「Osakaあんしん住まい推進協議会」では、宅建業者、貸主、管理会社に協力店としての参加を求めて「あんぜん・あんしん賃貸」検索システムへの物件の登録を呼びかけているんだよ。

 

 いろいろと充実してきているんだぁ、これからも楽しみだね。

 

 そうだね。もし、分からない点や不安に思うようなことがあれば、各市町村の窓口や社会福祉協議会、そして(一社)大阪宅建協会まで相談してみて下さいね。

 

 

 

 ライター:長尾敏春(北摂支部)