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「賃貸の申込金返還トラブル」

2013/10/01 カテゴリー: 賃貸

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 こんにちは、今回はワンルームマンションを借りようとしているAさん(21歳・女性)から、「ワンルームマンションを仲介業者に案内して貰い、気に入ったので申込金として賃料の一ケ月相当分を預けました。しかし一晩よく考えて、次の日に断りに行ったら、その仲介業者から『あの申込金は別の物件の申込金に充当しますからお預かりしておきます。』と言われ、未だに返してくれなくて困っています。」という相談です。博士、よろしくお願いします。

 

 それは大変ですね。ではここで、ご相談者のAさんが言われている「申込金」という用語について説明いたしましょう。不動産業者の一部の人の中には、申込者の意思を確認する、物件を押さえておく、簡単に申込みをキャンセルされることを防ぐ、などを目的に、「申込金」、「申込証拠金」、「予約金」、「交渉金」などの名目で、申込者に金銭の預け入れを求めることがあります。しかし、それらの契約を締結するまでの間に授受されたお金は、名目を問わず、全て『預り金』として宅建業法上は取り扱われます。

 

 それらのお金は物件をキープしておくためのもので、あくまでも一時的に預けるお金と考えれば良いですか?

 

 そうですね、「申込金」は、「私は、条件が整えば、その部屋を借りますよ」という意思を表示するものであり、申込みを行い、契約の意思が固まるまで優先的に部屋を確保して貰うことを目的として預けるお金です。ですから、仲介業者が契約成立前に『預り金』を受け取っているからといって賃貸借契約が成立したとは言えず、仲介業者は借り受け予定者のAさんが「やはり借りるのをやめます」と申込みを撤回した場合は、『預り金』を返さなければなりません。そうしないと宅建業法違反という事になります。

 

 と言うことは、Aさんのお金は返して貰えるんですね?

 

 そうですね、宅建業法上、借り受け予定者のAさんが申込みを撤回した場合は、仲介業者は受領済みの『預り金』の返還を拒めません。でももしAさんが仲介業者から重要事項の説明を受け、その説明書面を受け取っていて、貸主が入居を承諾していたとするならば、話は変わってきます。

 

 えっ、博士、Aさんはその様なことは言っていませんでしたが、もし仲介業者から重要事項の説明を受け、その説明書面を受け取っていて、貸主が入居を承諾していたらどうなるのですか?

 

 その場合、Aさんが預け入れたお金は今まで説明して来たような『預り金』ではなくなります。「借りるのをやめた。だからお金を返して。」では済まなくなりますね。
 つまり、仲介業者の宅地建物取引主任者が借主に対して重要事項の説明を行い、その説明書面を交付し、貸主が入居審査をして、「貸します」と意思を明確にした場合、その時点で契約は成立しているといえます。

 

 でも博士、契約書に署名や捺印をしてなくても契約は成立するのですか?

 

 そうです。借主の「借ります」(申込)、貸主の「貸します」(承諾)という意思の合致により契約が成立する(これを「諾成契約」という)のが民法の考えです。通常私たちは、「契約というものはキチンとした契約書があり、それに署名・捺印しないと契約したことにはならない」と考えがちですが、民法では契約にあたっては必ずしも契約書は必要ありません。
 ただし、貸主と借主の間に仲介業者が介在している場合、仲介業者は、必ず賃貸借契約が成立する前に、借主に対して当該物件の重要事項の説明を行い、その説明書面を交付しなければなりません。なお、貸主と借主が直接契約をする場合は除かれます。
 その重要事項の説明は、宅地建物取引主任者が、宅地建物取引主任者証を提示して説明することになっています。宅地建物取引主任者でない者が重要事項の説明を行っても無効です。
 したがって、仲介業者が借主に対して重要事項の説明を行い、その説明書面を交付し、貸主が入居審査をして、「貸します」という意思を明確にしていた場合は、『預り金』は『手付金』となり、契約をした証拠として取り扱われるお金となる場合が多いです。

 

 わぁ、そうなると判断が難しいですね。

 

 だからどんな場合でも『預り金』が100%返ってくるとは言えません。まず、仲介業者が借主に対して重要事項の説明を行い、その説明書面を交付したか否か?
 その上で、貸主がどの時点で「貸します」という賃貸契約の意思を表したかによって判断すべきですね。

 

 わかりました。では博士、今回のAさんのケースではどうなるのでしょうか?またアドバイスもお願いします。

 

 Aさんの相談内容を聞く限りでは確定的なことは言い難いですが、仲介業者が申込金を次の別の物件の申込金にしましょうと言っているなら、申し込んだ物件の契約には至っていないという様にも聞き取れますから、今回の申込金は返還されるのではないかと思います。つまり契約の成立はしていないと推測できるので、できるだけ早急に仲介業者に申込金の返還請求をして下さい。
 ただ何度も言うように、入金時に宅地建物取引主任者による重要事項の説明が行われ、その説明書面を交付されていて、貸主による入居審査も通り、貸主が入居を承諾しているのであれば、契約は成立していて、申込金という預り金は手付金となりますので、その時点で「やめた」と申し出て、貸主が契約の解除に応じたとしても、手付金は返還されない場合がありますので十分注意しましょう。
 当然、重要事項の説明を受ける時には賃貸借契約書の中身もよく確認してからでないと、「こんな契約内容で借りるはずじゃなかった」という後悔をすることにもなりかねません。
 先ほど「諾成契約」という、口頭での合意でも契約は成立すると言いましたが、契約の中身については必ず文書化しておくことが大事です。口約束では絶対だめです。また「普通はこうだろう?」という身勝手な思い込みで契約書の文言を判断してもいけません。わからない内容は必ず質問して、その場で解決するように、また借主が希望する内容が契約書の文言(文書)に書かれていなかったら、すぐにその場で希望する内容が反映されるよう修正(記入または削除)しないと、仲介業者が「後からやります」とか「(口で)説明していますから・・」と言ったとしても、文書化されていないならば借主が後々主張しても通用しません。あくまでも「書いたもの」「書かれたもの」が全てと言っても過言ではないでしょう。
 また「『重要事項説明書や賃貸借契約書の中身を検討せよ』と言われても、何をどのように検討すべきか、何を質問すればよいのか、サッパリわからない。」と言う方がおられます。そんな時は、大阪宅建をはじめ不動産関連団体が窓口となる相談所や大阪府建築振興課宅建業指導グループなどに賃貸借契約についての事前相談をするのがよいでしょう。

 

 

相談窓口のご案内(大阪府HP内へのリンク)

 

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