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「重要事項説明書とは?(売買編)」

2017/04/24 カテゴリー: 売買

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下記記事のPDFファイル
(容量:324KB PDF形式)いったんPCへ保存したのち開いて下さい。

 

 

 こんにちは。今回はマイホームを買おうとしているAさんからの相談だよ。人生で最大の買い物だからすごく不安になっているみたいなんだ。どんなアドバイスをしたらいいかなぁ?

 

 不動産取引は、大きな金額が動くのでトラブルにならないよう慎重に進めないといけません。そのために宅建業者は契約が成立するまでの間に、物件の内容や取引の条件などその不動産を買うのか買わないのかを判断するための重要な事項について「重要事項説明書(重説)」というものを交付、説明することが宅建業法第35条で定められています。この説明をきちんと受けて理解してから契約をするようにしましょう。

 

 Aさんは内覧もして、買おうとしているおうちのことをよく知っているみたいなんだ。その場合は重要事項説明は受けなくてもいいの?

 

 ダメです。たとえ買主がベテランで、そんなの分かっているから説明なんて受けなくてもいいよと言ったとしても省略することは出来ません。
 忙しいからと電話やメールで済ませるというのもダメです。
 宅地建物取引士が買主に対して対面で行わなければなりません。
 世の中の変化を受けてインターネットなどを使って重要事項説明をすることを許可するべきだという議論や、社会実験が行われています。しかし、消費者に購入の判断に必要な情報やリスクをきちんと説明できるのか専門家が集まって議論しているところで、今のところ認められていません。

 

 じゃあ、いつ、重要事項説明を受けたらいいの?

 

 重要事項説明は、その物件についての情報をきちんと聞いて、買主が購入の判断をするためのものですから、買いたい物件が見つかったら契約をする前に早目に受けた方がいいでしょう。疑問点がある場合は宅地建物取引士に質問して、じっくり検討してから契約をするか判断したらいいですよ。

 

 重要事項説明って宅地建物取引士じゃないとできないの?

 

 そうです。宅地建物取引士が行わなければなりませんが、専任の宅地建物取引士でなくても大丈夫です。
 また、宅地建物取引士の資格がない人が重要事項説明を行わないようにするため、名義貸しなどの不正を防止するために重要事項説明をする宅地建物取引士は宅地建物取引士証を買主に提示をして説明することが義務付けられています。

 

 なるほど。重要事項説明って具体的にどんな内容なの?

 

 重要事項説明で説明しなければいけないことは宅建業法で定められています。各項目に分けると
 ・権利関係
 ・法令上の制限
 ・道路その他インフラに関する事項
 ・その他の制限や物件に関する事項
 ・マンションなどの場合は区分所有建物に関する事項
 ・契約条件
 ・その他、契約の判断に必要な事項
 などとなっています。

 

 もう少し詳しく教えて?

 

 まずは「権利関係」。購入予定の物件を特定するために物件の所在地や面積など、登記簿の内容が記載されています。また、面積は登記簿に記載されている「登記簿売買」で取引をするのか、あるいは事前に測量をして「実測売買」で取引をするのか確認しておいたほうがいいでしょう。それ以外に抵当権など、所有権以外の権利についても説明することになっています。もし、抵当権が設定されている場合は決済までに抹消できるか確認が必要です。

 

 法令上の制限って何?

 

 取引の対象となる不動産が都市計画法や建築基準法などの法令にどのような制限を受けるかが記載されています。自分が建てようと思う建物を建てることが出来るのか、建替える時にどんな制限があるのかをきっちりと調べて、買主に説明することが義務付けられているのです。
 聞きなれない法令は、全宅連から「重要事項説明書説明資料」という資料があるので、宅建業者にもらってこれを見ながら説明を受けるといいでしょう。

 

 道路その他インフラに関する事項ってどういうこと?

 

 道路は敷地との関係で重要になるので、宅建業者も非常に気を遣うところの一つです。見た目は普通の道路でも、建築基準法で認められた道路に2m以上接していなければ、原則として建物を建てることができません。トラブルになった例もたくさんあるので、特に敷地の前の道が狭い土地は説明をよく聞いてくださいね。あと、水道やガスの配管などです。その施設がすぐに利用できる状況にあるのか、整備するための負担金はあるのかなどが記載されています。また、水道管が他人の土地を通って引き込まれている場合があります。家を建て替えたり、古い水道管を取り替える時などは、隣地に入って工事をしなければなりません。あとからトラブルになるという事もあるので、よく確認してください。
 その他の制限はどんなことがあるの?

 

 その土地が土砂災害警戒区域や津波災害警戒区域に指定されているかどうかなどは、契約の判断をする時の重要な事項ですよね。それ以外にも、古い建物だとアスベストの使用調査や耐震診断の有無、その内容なども説明することになっています。

 

 戸建とマンションは同じなの?

 

 区分所有建物は他の所有者と共同で管理していく必要があるので、管理規約など戸建建物にはない説明があります。例えば、専有部分の用途その他利用の制限に関する規約の定めや廊下やエレベーターなどの共用部分に関する規約の定めなどです。

 

 契約内容の確認も大切だよね。

 

 特にお金に関するところはきちんと理解して契約しないと後からトラブルになることが多いです。不動産の取引には売買代金以外に授受するお金があります。例えば手付金や固定資産税の日割り清算、マンションの場合は管理費等清算金などがありますので、金額を含めきちんと確認しましょう。

 

 他にどんなものがあるの?

 

 不動産を買う時、多くの人がローンを利用しますよね。でも融資を受けられなかった場合、何も取り決めが無ければ大変なことになります。そのため、ローンを受けられなかった場合に白紙解除ができるなどの措置が記載されているか確認しておきましょう。

 

 よく分かりました。不動産は金額が大きい買い物だけど、重要事項説明をしっかり確認して契約をするか判断したらいいんだね。

 

 そうです。正確な情報をきちんと知って判断すれば不動産の取引は決して怖くありません。素人だから何もわからないという考えがトラブルの元になります。重要事項説明をきちんと聞いて、分からないときはその都度、宅地建物取引士に聞くようにしてください。そうすることでトラブルの危険性は大幅に回避できると思いますよ。わからないことや不安になことがあれば、大阪宅建協会をはじめとする不動産関連団体が窓口となる相談所までご相談ください。

 

 宅建博士、ありがとうございました。

 

 素敵な家に出会えると良いですね。

 

 

 ライター 栗本 唯(中央支部会員)