不動産取引に関する知識

「収益不動産の価格査定について」

2017年10月30日

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 今回は不動産投資を始めようとしているAさんからの相談だよ。友達からアパート経営を勧められて興味はあるけどいろいろ不安があるみたいなんだ。

 

 アパート・マンション経営は以前は地主や資産家、一部の宅建業者の間でのみ行われていて、一般の方には縁のない世界と思われていました。ところが2000年以降、銀行がアパートローンと言う商品を発売してからアパート投資がブームになりました。最近では相続対策でアパート・マンション経営に乗り出す人も増え、過熱化が懸念されるくらいになっています。

 

 僕も大人になったらアパートを買えるの?

 

 きちんと仕事をしていて安定した収入があり、多少の貯金を持っている人なら金額の多い少ないはありますが、金融機関は積極的に融資をしていますので買うことは出来ると思うよ。

 

 大家さんって憧れるなぁ。僕もアパート投資しようかな。でも借金して買うのって不安だなぁ。

 

 不動産を買う時、ほとんどの人は銀行からお金を借りて購入しますよね。住宅ローンは所得から返済しますが、アパートローンは家賃収入から借り入れを返済するのでリスクは住宅の購入に比べ低いと言われているよ。

 

 じゃあ誰がやっても上手くいきそうだね。

 

 そんなに甘くはないんだよ。不動産投資という言い方がありますが、アパート・マンション経営は投資ではなくて事業です。きちんとやらないと失敗することもあります。

 

 失敗ってどういうこと?

 

 賃貸アパート・マンションは、入居者からいただく家賃で運営が成り立っています。入居者が入ってくれないと経営が破たんします。最近は、新築ブームで競合も増えていますし、古くなると競争力が落ちるのでリフォームなどの費用も必要です。さらに今後の日本は人口が減っていきます。その中で賃貸経営は決して簡単な仕事ではありません。

 

 失敗しないようにするにはどうすればいいの?

 

 まず賃貸アパート・マンション経営は事業であるという意識を持つことです。お客さんは入居者です。良い入居者の方が入って長期間住んでもらうには、住みやすい住環境を提供する必要があります。清掃などを徹底し、古い設備は適宜更新するなどやることはたくさんありますよ。

 

 そういうことは管理会社がやってくれるんじゃないの?

 

 管理会社の仕事は家賃の集金や、日々のクレームなどへの対応、不具合が出た時の修繕など、物件の管理が仕事です。例えば、リフォームにお金をかけて家賃を上げるのか、それとも現状のまま家賃を下げて貸す方が良いのか?といった経営判断は大家の仕事であって管理会社の仕事ではありません。その判断によって収益が大きく変わるので、経営者の目線が必要になってくるんだよ。

 

 なるほど、よく分かりました。じゃあ、実際にどういう物件を買えばいいの?

 

 これは難しい質問です。みんなが欲しがる人気エリアの築年数の浅い物件は価格が高く、利回りも低いので収益性はあまり望めません。反対に高利回りの物件は場所が不便だったり、建物が古いなど何か問題がある物件であることも多く、それだけリスクも高いと言えます。

 

 高いか安いかの判断はどうすればいいの?

 

 不動産の価格査定はとても難しく、プロに聞いても全然違う答えが返ってきます。ただ、銀行でお金を借りて買う人は、銀行がお金を貸したい物件を選ぶ必要があります。

 

 どういうこと?

 

 例えば、1億円で売られている物件を買おうとして銀行に融資の相談に行ったら、5,000万円しか融資できませんと言われたとします。そうすると5,000万円は自己資金を出す必要があります。一方で、同じ1億円の物件でも銀行が1億円貸しますという物件だと、自己資金を出さずに買うことが出来ます。その目利きが出来る出来ないはとても大切なんだよ。

 

 それは物件を見て分かることなの?どうやって見分けたらいいの?

 

 銀行が不動産の価格査定をする時に、一般的に「積算評価」と「収益還元評価」という二つの方法を使って評価をします。
 積算評価は、不動産を担保としてみる時にいくらで再調達できるか?と言う視点で計算する方法です。例えば、土地の価値は路線価で計算、建物は同じものを建てるのにいくらかかるかという視点で計算して価値を算出します。市販の不動産投資本などに具体的な計算方法が載っている事が多いので、興味がある人はそれを元に実際に計算してみてください。
 Excelなどの表計算ソフトを使うと簡単に計算できますよ。

 

 もう一つの収益還元評価ってどう計算するの?

 

 収益還元評価は、その物件にいくらの収益性があるかという視点で価値を計算する方法です。この計算は初めての方にはちょっと難しいと思うので、別の方法として返済比率を判断材料にすると良いかもしれません。

 

 返済比率?

 

 例えば月に100万円の家賃収入があるとします。それに対して月の銀行への返済が50万円だと返済比率は50%となります。一般的に返済比率が60%を超えると危険と言われています。収入と返済の差がプラスになればOKという説明をする人がいますが、固定資産税や日々のランニングコスト、空室リスクなどを考えるとそれだけでは不十分です。

 

 やっぱり怖いなぁ。

 

 ただ、リスクをきちんとコントロールして運営すれば決して怖くありません。大家業はきちんとやれば入居者や地域の人から感謝される社会的意義のとても高い仕事です。多くの人から感謝されて収益も期待できるって素敵じゃありませんか?

 

 価格や返済以外に注意するところはどこなの?物件のどういうところを見たらいいの?

 

 よく管理状態や空室の状態を気にする人がいますが、実はそんなに重要ではありません。例えば管理が悪くて清掃が行き届いていない物件があれば、管理のやり方を変えれば甦るので相場より少し安く買える場合もあり、とてもお買い得な物件となります。 一番確認しないといけないのは建物の瑕疵です。例えば雨漏りをしていないか、地盤沈下していないかなどです。最初は詳しい人と一緒に行くか、誠実で建物に詳しい宅建業者と行った方が良いかもしれません。

 

 確かに雨漏りとかがあると修理にお金がかかるよね。

 

 次に境界や近隣トラブルです。これも解決するのは簡単ではないので、事前に確認しましょう。

 

 昼と夜に見に行った方がいいの?

 

 交通量が違うなど、昼と夜で雰囲気が変わる場合もありますから、時間を変えて見に行くと良いでしょう。駅から現地まで実際に歩いてみたり、近くにスーパーなどの利便施設があるか確認して、入居者目線で住みやすい街かどうかの確認が必要だね。 最初は難しいかもしれませんが、色々な物件を見に行くと判断力もついてくるのでたくさん見に行くようにしましょう。

 

 賃貸アパート・マンションを買う時はどんな業者さんに頼んだらいいの?

 

 賃貸アパート・マンションなどの収益不動産は不動産としての良し悪しだけではなく、実際の収益性や、金融、賃貸の客付けなど幅広い知識が必要です。そのため実際に今まで売買に携わったことがあり豊富な知識を持っている人にお願いするのが良いと思うよ。

 

 買いたい物件が見つかったら何をすればいいの?

 

 普通の住宅を買うときと同じで購入申込書を提出します。次に融資ですが、賃貸アパート・マンションの融資は住宅ローンと違い、金融機関によって条件が異なるので時間がかかります。そのために慌ててはいけませんが迅速に動かないと良い物件ほど他に買い手が見つかり逃してしまう可能性があるので注意しましょう。

 

 買った後はどういうことを心掛けて運営したらいいの?

 

 基本は「購入前より良くする」という発想が大切だよ。物件は古くなると劣化します。でも手入れをすれば物件は生き続けます。それが賃貸アパート・マンション経営の面白いところです。目先のお金や節税も大切ですが、入居者や地域の事を考えて運営することが事業としても良い結果を生むと思います。

 

 宅建博士、ありがとうございました。僕も将来アパートの大家さんになりたいな。

 

 

 ライター 栗本 唯(中央支部会員)

 

 

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