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「マンションの大規模修繕について・・・」

2023/08/10 カテゴリー: その他

 

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博士! また暑い夏に突入だよ、それと突然のカミナリとオオアメもこわいよね。これだけでもう思考能力がギリギリになってしまいそうだよ。
たしかに しばらくは、これが一段落するまでは仕方がないのかなぁ・・しかし、たくっちも、もう少し思考能力だけでなく、体力も鍛えてみたらどうなんだろうか? いつもギリギリだ、ギリギリだと言っているが、食べてばかりいないで体力面を修錬(しゅうれん)していくようにした方が健康的で良いのではないのかなぁ?・・・
しかし博士! 体力面の修錬だなんて・・・たしかに筋肉をつけて外側部分を修繕(しゅうぜん)して、やっぱりフィジカル面とメンタル面の両方をしっかり修錬していかないと健康的ではないのかなぁ・・・
そうした面の部分も含めて今回、マンションの修繕面についてしっかり教えてよ~
そうだねぇ、しかしわしも修錬するために毎日腕立て伏せをしているんだよ。びっくりしただろ?これもフィジカル面の老朽化対策みたいなものなんだよ。
ところで今回は、テーマでもある、マンション(区分所有)の大規模修繕(だいきぼしゅうぜん)全般について話をしていくことにするね・・・
大規模修繕?? あっそういえば家の近くの分譲マンションで工事をしていて大きな仮設足場と養生シートがあったことを思い出したよ。たしか上の方に何かしらの名前が書いた看板があったわぁ。
まさにそういうことだよ。よく賃貸マンションでも大規模修繕をしている光景を見ることもあるんだが、今回は分譲マンションについての内容でまとめるが、賃貸マンション(いわゆる収益物件等)の修繕についてもどこかのタイミングで話をしていくことにするね・・・
わかったよ博士! では大規模修繕についてかんたんに教えてよ。
大規模修繕は、経年に伴い劣化したマンションの建物や設備を定期的に修繕することで、特に、建物の躯体を維持するための修繕や共用部分の改修が主なものだ。おおかた13年~16年程度の周期で行われることが多く工事中の不便さや費用負担など区分所有者には負担がかかるんだが、建物の安全面と資産価値の維持のためには大事なことなんだよ。
しかし、どうして大規模修繕をする必要があるの?
それは、建物や設備は年数の経過によって劣化していくため購入時は新築のマンションでも、経年すれば外壁や内壁等が次第に汚れてまだらになったり防水面が傷んでくるのが避けられないからだよ。たとえば、外壁や屋根は紫外線や風雨にさらされるため、ひび割れやタイルの剥がれなどが各所で発生したり、近年は自然災害の影響があってからの劣化も徐々に出てきていて、このような劣化してきた部分を定期的にメンテナンスすることが、大規模修繕の主な目的なんだ。また、劣化している箇所には、玄関扉の内側(専有部分)であったり給排水やガス給湯配管等の専有部分にあたる場所もあるんだが、専有部分に関しては区分所有者が修繕しなければならないんだよ。
そしてもう一つ大きなことは、マンションの資産価値を維持し続けるためにも必要なことなんだよ。
博士!もし大規模修繕をしなかったらどうなるの?
大規模修繕を実施しないままマンションの建物部分を放置し続けると雨漏りや設備故障などによって生活に支障がでたり、外観やイメージが悪くなったり共用部分がすっきりしない状態にもなり、故障や不具合だけでなく付属する設備仕様自体も古くなり、生活に不便さが出てくるんだ。こうした状態でマンションでの暮らしやすさが損なわれると、その価値も保持しにくくなるため、将来の売却や賃貸に出すことを考えたときに、価格が周辺相場と合致しにくくなってくる場合もある。このようなことを防ぐためにも、大規模修繕はとても大切な意味を持っているよ。
そのため特に中古マンションなどの区分所有物件の売買取引時には、大規模修繕の実施の有無やその予定内容、修繕履歴や修繕計画などの将来の予定や管理費、修繕積立金等の改定予定などを、重要事項説明において買主である購入者へ告知することが義務付けられている。修繕がしっかり行われているかどうかは、マンション購入を決める大切な要素の1つとなるから、買主には正しく説明しなければならないんだよ。
では博士!大規模修繕は実際どういう流れで進んでいくの?
そうだね。まずは、マンションの管理組合内で大規模修繕をどう考えていくのか?から始まるんだ。マンション管理組合の理事会が主導する場合もあるが、修繕委員会といった専門委員会を設置する場合が多いよ。理事会は通常の組合運営も担当しているので、そこに大規模修繕に係る業務が加わるとその量は膨大になるからそこで、理事会の傘下組織として設置されるのが修繕委員会で、大規模修繕に関わる業務を担当し工事内容の検討を行い理事会に提案する。区分所有者へのアンケート等も実施しながら最終的な方向性を決定するのは理事会にはなるが、工事内容の検討や建物調査への立会いや説明会、工事打合せ、進捗管理など準備段階から完成まで工事全体に関わってくる。そのメンバーにはもちろん専門的な方がいれば進みやすくなるので過去に大規模修繕を経験された方や建築関係に詳しい方がいれば心強くなるんだよ。
なるほど博士! では工事や設計監理の発注方式についてはどうなの?
大規模修繕は、やはり専門的な知識や視点が求められるため準備段階から外部の専門家と契約して設計監理業務や実際の工事を行うことも多い。代表的な発注方式に責任施工方式や管理会社主導方式、設計監理方式がある。責任施工方式とは管理組合が施工会社と直接契約する方式。また、管理会社主導方式は管理会社に工事を発注する方式。設計監理方式は発注者と施工する会社とは別に第三者としてコンサルタントが加わる方式でそのコンサルが工事設計を行い施工会社はコンサルが作成した仕様書に基づき工事を実施し、工事中はコンサルが専門家の視点で工事監理も行う。発注方式を選ぶ上で自分たちが信頼して任せられるかという点が大切で会社や業態やコンサル実績での特色により異なる。最初にどの発注方式を実施していくのかは、とても大事な部分で今後の大規模修繕における一つのポイントになるんだよ。
なるほど博士!ではその後はどういう風になるの?
発注方式を決めたら、次に行うのは建物診断で専門業者が現地確認して調査を行うんだ。建物に出てきた様々な変化からどのような劣化症状がでているのか また緊急度合はどの程度か?など目視や専門機材による調査なども用いながら判定していく。建物調査の結果は大規模修繕の時期や工事内容を決定するベースとなるため、まずは建物診断を実施し現状を十分に知っておくことで、修繕計画をじっくり考えて進めていくことができるんだ。
ということで診断した後には予算や計画はうまくまとまるの?
建物診断で現状を知ったら、次に工事の実施時期や仕様そして工事内容を検討していくのに加え、建物診断で劣化判定された箇所は、優先的に修繕計画に組み込んでいく必要がある。また、比較的状態の良い箇所は、次回の大規模修繕まで維持していくことも考えながらアンケート等の要望の多かった工事を実施するなどメリハリをつけた予算の使い方を考えていくことも大事である。足場のセキュリティ、オートロック(スマートロック、キーレスエントリー等)の設置、防犯カメラなど安全性や利便性に寄与する工事は居住者の生活の質も向上するので、より満足度が高くなる場合が多いんだ。また、大規模修繕には修繕積立金が充当されるが積立金が不足している場合には、工事内容の見直しや一時金の徴収または融資を受けたり、工事のタイミング自体を見直すといった対応策を検討する必要がある。同時に、修繕積立金の将来的な計画まで踏まえての使い方を考えていくようにしながら、今後20~30年にわたる収支の状況を長期修繕計画書で確認して、大きな金額が動く大規模修繕工事の際には必ず見直しをしていく必要があるんだ。そうして将来的に積立金の不足が予見される場合には、計画内容や積立金額の見直しなど対策も踏まえて考えていくことが大事なんだよ。
参考には、国土交通省では長期修繕計画についてのガイドラインが出ているんだよ。
では博士!施工会社についてはどう選んでいったら良いの?
工事内容や予算が決まったら施工会社の選定作業に入るが、施工会社を決定する際には複数社から見積をとり検討をするのが一般的で施工会社は専門紙やネットなどの広告媒体等を利用して公募していく。書類選考で数社に絞ったらヒアリングをして各社に工事への方針や対策、会社の規模や体制、アフターサービスの内容などを確認していく。施工会社を決定する際、コストについては重要な判断材料のひとつだが、施工実績や経験、工事への心意気といった質の部分また経営状況など財務の安定性も見て総合判断をすることが大切なんだ。工事の仕上がりについては耐久性や資産価値にも影響すること、補修が適切に行われていないと劣化症状がすぐに再発し結果として余分な費用や手間がかかるといったことにもなりかねないから注意が必要。また、施工会社とは工事中、工事完了後もアフター点検などを通じて長年にわたる付き合いが始まるので、区分所有者が、建物のことを安心して任せられる施工会社を様々な方向から検討していくことが結果的には良いんだ。
なるほど博士!区分所有者での工事内容の決議についてはどうなるの?
大規模修繕についての工事内容が決まったら管理組合の総会を開催する。組合員に向け大規模修繕の目的や工事内容、予定工事期間、施工会社について、費用と予算がどれくらいかかるのかといった計画についての報告を行い、この総会の承認を得たあとで正式に工事の発注ができるようになる。大規模修繕は組合員の理解を得られてから実施できる工事であるため選考や決定の過程においても公平性や透明性が保たれていることがとても大切で建物診断で判定された劣化状況、工事の方向性、予算の用途、施工会社の選定理由など、理事や修繕委員など関係する方たちだけでなく組合員に向けてもわかりやすく明確に説明ができるように準備をしておくことが大事だ。また、総会までの過程においても報告会や広報誌の作成をしたり、場合によっては臨時総会を開催し組合内での意見の調整を行い、準備段階でこうしたコミュニケーションを丁寧に行うことが組合員の合意形成を促す上でとても大切なんだよ。
では博士、総会の決議後には工事の段取りはどうなるの?
総会での大規模修繕実施の承認後に決定した施工会社と契約を締結し工事の準備に入り、着工の約1ヵ月前に工事説明会を実施し組合員や居住者に概要や注意点などを説明し、特に安全上の留意点や対策、日常生活への影響について説明を行う。大規模修繕は住みながらの工事になるので、ここでの意見や懸念点は設計監理者や施工会社とも情報を共有し極力生活に影響がでないよう対応策を検討する。工事説明会に続いて近隣挨拶が完了したら着工にうつるわけだが、事前に綿密な施工計画があっても足場ができて実際に施工箇所を確認してから初めてわかる不具合などもでてくるので、工事中は理事会や修繕委員会と設計監理者、施工会社とで定期的に打ち合わせを行い、変更箇所などの確認や工事の進捗、居住者の要望などを共有し、工事がスムーズに運ぶような調整や意見交換を行うことが重要になる。同時に欠かせないのが広報活動で工事中はマンション周りに足場が建ち大きな音がしたり多くの作業員や工事車両が出入りしたりマンションを取り巻く環境が普段とは大きく変わるため、ストレスに感じる方も出てくるので日常生活への影響を抑える配慮はとても大切だ。特に居住者各戸の生活に直接影響のある事柄や安全に関する注意点は工事中の掲示板や各戸へのチラシ配布も使い知らせておくことで、工事中も居住者が安心できる環境を整える姿勢や配慮が信頼につながり理解や協力に繋がっていくことになるんだ。
では、完成したら誰がどのように確認するの?
まだ足場のある状態で行われる完了前時点で検査を行い工事箇所については、管理組合、設計監理者、施工会社等が確認を実施して、不具合のある部分については、手直しを行った後に改めて最終確認を行う。こうした竣工検査を経て無事工事が完了するとやっとのことで引渡が可能となる。竣工時には工事内容を記録した竣工図面の受け渡しがあるが今後マンションを維持管理していく上での大切な記録となるので保管しておく必要があるんだよ。
しかし、こうやって大規模修繕の流れを考えて見ていくと、ちなみに築年数の経過した分譲マンションはどれくらいあるの?たくさんあるのかなぁ?
国土交通省によると築30年以上の分譲マンションは2021年末時点で全国に249万戸ある。20年後(2041年)にはおよそ2.4倍の588万戸になる見通しだ。
これからもまだまだ築古マンションがどんどん増えていくね・・マンション長寿命化の対応について最近創設されたものはどのようなものがあるの?
また、築年の経過したマンションの固定資産税減額の特例措置(2023年度創設)として今回の税制改正大綱で創設された項目がある。近年、築年数40年以上のマンションが増えてきているが年数の経過したマンションで大規模修繕が実施されていないケースが増えつつあり、このまま放置すると社会問題化しかねないとの指摘があるようなんだ。大規模修繕が行われない理由は、住民の高齢化による修繕積立金不足や意識の低下によるものとされているんだが、今回、長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対し工事翌年の区分建物部分の固定資産税を1/6〜1/2減額することにしたんだよ。ちなみに減税割合は市町村の条例で定められることになっている。
今回の対象となるマンションの要件は3点あって
①築後20年以上が経過した総戸数10戸以上。
②長寿命化工事を過去に1回以上適切に実施。
③長寿命化工事の実施に必要な積立金を確保。 
但し、今回のこの特例は2023年4月1日から2年間の適用期間となっている。
なるほど、よくわかったよ。ぼくの友人もタワマンに住んでいるんだけれども、今後の大規模修繕についてどういう風に工事が進んでいくのか?内容を想像して理解しやすくなったことと、取引する時の大規模修繕の内容の深さが勉強になったのでじっくり伝えていく様にするよ。
じっくり勉強して検討していけば、ギリギリにならなくても対応が出来るということが、じっくりわかるわけなんだよね。
なるほどね・・・しかし、僕もこの暑い中水分を補給しながら、オオアメ対策やカミナリ対策そしてコロナ対策もしっかり頑張ってまだまだ勉強していくことにするよ。もう半年で今年も一段落だけれども、現地を見ていろいろな土地や建物、収益物件などに足を運んで、新しいものを見つけては、またまた博士になぜなの?と聞いていくようにするから心配しないでね・・・
もしわからないことや、不安に思うようなことがあれば、ふと考えたその時や、今まさに悩んでいるという場合においても、土地や建物の相談、または専門家の相談を受けてみたり、大阪宅建協会をはじめとする相談所などで様々なアドバイスなどを聞いてみたりするのも良いかもしれないね・・・

 

 

 ライター: 研修インストラクター 西本 淳一(北摂支部)