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家族信託について

2024/03/12 カテゴリー: その他

 

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下記記事のPDFファイル

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博士、友達のお爺さんお婆さんが高齢で暮らしているらしいんだけど、最近は二人とも身の回りのことをしにくくなってきているようで、施設への入所なども考えているそうなんだ。その費用負担と今のお住いの家の処分のことで、友達のお父さんが悩んでいるらしいんだよ。
おやおや、たくっち、なかなか深刻な悩みだね。
うん、友達のお父さんが「家族信託」について調べているって言っていたので気になって、博士に教えてもらいたいんだよ。
「家族信託」かぁ、それはいいところに気が付いたね。
「家族信託」というのは、「一般社団法人 家族信託普及協会」の登録商標で「民事信託」のなかの、ご本人の財産を、ご本人の意向に沿ってその家族や親族が受託者となって報酬を目的とせず管理、運用、処分を行うものを主に「家族信託」と呼ぶんだよ。
(注)http://kazokushintaku.org/registered_trademark/
博士、信託って信託銀行がするんじゃないんですか?
そうだね、信託銀行が行っている信託は、「信託法」に基づく免許を取得して報酬・利益を得る目的で、不特定多数の顧客のために投資・運用などを反復・継続的に行う信託で、1922年(大正11年)から有ったんだけど、多様な信託の利用形態に対応するために制度の整備などの改正を行い、2004年12月に「改正信託業法」が施行され金融機関以外の事業会社の参入などが可能になったんだよ。
へぇー、信託銀行以外の会社などでも信託業が出来るようになったんだね。
そうだね、それらの信託を「商事信託」というんだよ。
さらに、2006年12月にそれまでの「商事信託」だけでなく、いわゆる個人でも信託が出来るようにするための「信託法改正」が施行され「民事信託」が出来たんだ。
その中でも、ご本人の財産を、ご本人の意向に沿ってその家族や親族が受託者となって報酬を目的とせず管理、運用、処分を行う「家族信託」が出来るようになったんだね。
それでは、具体的に「家族信託」について解説してみようかな。
博士、分かり易くお願いします。

そうだね、とりあえずあらためて用語の説明をしておこうね。
先ずは、財産を持っていて信託を依頼する人を「委託者」と言うんだよ。ここでは、委託者はお爺さんで、お爺さん所有の家を「信託財産」というんだ。
そして、その財産の管理、運用、処分の依頼を受けて行う人のことを「受託者」と言って、この場合のお父さんだね。その財産から得られた利益を受け取る人を「受益者」と言ってこれもお爺さんになるんだ、お爺さんは委託者であり受益者でもあるんだよ。
言葉では分かりにくいので図にしてみると、

098_2

お爺さんが委託者となり、その息子のお父さんが受託者となって「信託契約」を結んで、信託財産を受託者であるお父さんが管理・運用・処分を行い、それによって得られた利益は受益者であるお爺さんへ渡すのが家族信託だよ。

親子でも「信託契約」ってするんですね。
たくっち、良いところに気が付いたね、家族信託で一番大切なのが信託契約なんだよ。家族信託の「信託財産」は、自宅に限らず収益物件や預金、株式、自社の経営権などのあらゆる財産を対象とすることが出来るんだよ。
へー、そんなにいっぱいなら訳が分からなくなっちゃうよー。
だから信託契約で、何を信託財産として、どのように運用するのかを限定して決めておくんだよ。
そうなんだー。
ここで大切なのは、委託者であるお爺さんの「意思確認」なんだ。
信託契約も法律行為なので、あくまでも委託者本人が信託契約の内容を理解して受託者に信託財産を預けてその運用を任せることを自身の意思で行っているかが大切なんだ。
お爺さんがボケてしまうと出来ないの?
認知症や痴呆症になってからでは家族信託は出来ないんだよ。
本人の意思確認が出来ない場合は、成年後見人制度を利用することになってしまうんだ。
本人の意思がだいじなんだぁ。
家族信託の信託契約は、とっても大切で公証人役場で公正証書にして不動産の場合には「信託登記」をするんだよ。信託登記では、その所有権は受託者の名義に変わり信託の内容が登記されるんだ。受託者は信託の内容に基づいて運用の一環として、その不動産を担保として借入れもできるし増改築や処分も可能にすることが出来るんだ。成年後見人制度では出来ないことだよ。
とってもキビシイんだね。
そうだよ。将来、委託者であるお爺さんが認知症や健康障害などになり判断能力が衰えたとしても受託者がその影響を受けることなく信託財産を運用し受益者であるお爺さんへの信託の利益を確保し渡すことに支障が出ないようにするためなんだよ。
不動産の名義が、委託者のお爺さんから受託者のお父さんへ変わってしまうんなら、贈与税が掛かってくるんじゃないの?
信託契約では、委託者と受益者が同一の場合には実質的な所有者の変更がないものとして税金は掛からないんだよ。
博士、そんなに大切な内容の契約書をお爺さんやお父さんで作らないといけないんですか?
信託の契約書には、信託財産のことやその運用の方法などに係わるいろいろな法律なども有るので、費用は掛かるけれど司法書士や弁護士などの専門家に相談して作成してもらうことをお勧めするよ。そして将来的に不安がある場合には、司法書士や弁護士などの専門家を「信託監督人」として依頼し受託者であるお父さんの監督や指導をしてもらうことも出来るんだよ。
司法書士か弁護士ですか?
ただ、家族信託自体が2006年12月に施行されてまだ事例も少なく、専門的に扱っている司法書士などが少ないのでインターネットなどで納得できる先生を探し、詳しく相談して決めることだね。
ところで博士、友達のお爺さんたちにはどのような家族信託が良いのですか?
そうだね、お爺さんの意思確認が取れる間に自宅の管理・運用・処分に関する信託契約を締結しておいて、お爺さんご夫婦の自活が難しくなってきた場合に、受託者であるお父さんがお爺さんの自宅を売却してその利益を受益者であるお爺さんたちの施設への入所費と貯蓄に回すか、改装して賃貸物件として賃料を長期でもらい、その収入を受益者であるお爺さんたちの施設への入所費等に充てるのが良いと思うよ。
それなら、お爺さんも安心だね。
家族信託なら、お婆さんを第2受益者に指定しておくとお爺さんが亡くなった後でも、お爺さんが受け取っていた信託の利益をお婆さんに引き継ぐこともできるんだよ。
それならお婆さんも安心だぁー。
売却した方が良いか、賃貸などの方が良いかなどは地元の宅建業者に相談してみると良いね。
そうだね、宅建業者の人の方が有利な活用方法を考えてくれるよね。
ただし、家族信託を利用すると、「相続空き家の3000万円特別控除」が利用できなくなる場合があるので、あらかじめ注意が必要だよ。
「相続空き家の3000万円特別控除」って何ですか?
全国の空き家問題を解消するために、令和9年12月31日までに相続や贈与によって得た空き家を売却した場合に、その譲渡益から3000万円を控除してもらえるという特例だよ。
条件としては、
①被相続人が一人で住んでいた住居であること。
②空き家が建築されたのが昭和56年5月31日以前であること。
③被相続人が住まなくなってから賃貸や事業に使用していないこと。
④空き家の譲渡価格が1億円以下であること。
⑤耐震基準を満たす耐震工事を施すか解体すること。
⑥相続開始から3年目の12月31日までに売却すること。
などで③の賃貸や事業に使用していないことに抵触すれば利用できないので令和9年12月31日までの売却の場合にはどちらが得か注意が必要だね。
前もっていろいろと準備して検討することが大切なんだね。
家族信託には他にもいろいろな活用方法が有るんだけど、一度には難しいと思うので、またの機会に話すことにしようね。もし分からない点や不安に思うようなことがあれば、身近な宅建業者か(一社)大阪府宅地建物取引業協会まで相談してみて下さいね。

 

 

 ライター:研修インストラクター 長尾 敏春(北摂支部)