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「賃貸借契約における仲介業務と管理業務の違い」

2014年10月21日 category:

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 こんにちは、今回は、賃貸マンションに引越し新生活の準備を始めておられたAさんからのご相談です。「引越をしてまもなく気が付いたのですが、台所の水道の蛇口から水がポトポトと漏れてくるので、仲介業者に伝えたところ、『そういうことは管理会社に連絡してください。』と言われました。不動産屋さんは鍵を渡せばもう責任は無いのですか?」というご相談です。

 

 今回のご相談のように、一般の消費者の方々は賃貸住宅に関わる仲介業務と管理業務の違いが分からないので、とりあえず入居までの世話をしてくれた仲介業者に連絡をしてくることが多いですね。今回はこの「賃貸住宅に関わる仲介業務と管理業務の違い」についてお話ししましょう。

 

 お願いします。

 

 それではまず、賃貸借契約における仲介業務について説明しましょう。
 仲介業者は、借主に対して、賃貸物件の紹介、現地案内、物件や条件に関する重要事項の説明を行います。そして、貸主・借主双方の間に入って条件交渉を行い、交渉が成立すれば、賃貸借契約書を作成して契約を締結させます。その他、必要書類や諸費用の授受等の入居手続きのサポートを行い、物件の鍵を渡して物件を引き渡します。ここまでが、一般的な仲介業務の流れです。

 

 これで、お客様はいよいよ新居にお引越しをして新たな生活がスタートするわけですね。

 

 そうですね、実際に引越しをして新居で生活を始めていくのですが、ここでAさんのように色々な不具合が出てきます。そこで、借主(入居者)は仲介業者に連絡するわけなのですが、仲介業者の業務は先程お話ししたように終了しています。

 

 それでは、借主(入居者)はどこに連絡をすればよいのでしょう。

 

 一般的には、契約・物件の引き渡しまでが仲介業者の仕事、入居してから契約終了・明け渡し手続きまでが管理会社の仕事といえます。
 契約の前に説明を受けた重要事項説明書をご覧ください。「貸主等の表示」の欄に貸主の住所、氏名、電話番号、併せて「管理の委託先」が記載され説明を受けられたと思います。建物及び設備の維持管理については基本的には貸主が行うのですが、「管理の委託先」の項に氏名(商号又は名称)、住所(主たる事務所の所在地)、電話番号が記載されている場合には、そちらに連絡すれば良いでしょう。

 

 入居して直ぐに連絡をするのは気が引けるのですが・・・・。

 

 なかなか仲介業者から借主へ、貸主や管理会社の紹介とかは現実的に無いのですが、賃貸借契約書を交わした段階で、貸主は借主(入居者)の入居の状況を把握されているはずです。また、「管理の委託先」(以下、管理会社という)が有る場合には、そちらへも連絡されているはずですので、遠慮なく連絡を入れて下さい。
 管理会社は貸主から委託を受け、その賃貸物件の維持、管理を行い入居者が快適に過ごせるように日々業務を行っています。

 

 それなら遠慮なく管理会社に連絡を入れても大丈夫ですね。

 

 一般的に仲介業者は物件の細部までは把握できず、Aさんのような連絡を受けても台所の水道の蛇口(水栓器具)の型式が分からなければ、その処理の方法も分かりません。結局、仲介業者は貸主または管理会社に連絡を入れるのですが、状況の分からない仲介業者が間違った連絡をして却って対応に手間取ったり、担当者の不在などで余計な時間が掛かったりします。

 

 仲介業者に連絡をしても、管理会社に伝言を伝えるだけなんですね。

 

 Aさんのケースに限らず、入居後に何か不具合を発見した場合には速やかに管理会社に連絡を入れておかなければ、その不具合が原因で被害が拡大してしまったり、誤った使用方法で破損したのではないかと判断されたりで、自己負担分を請求されることが有るので注意が必要です。

 

 自分勝手な判断はダメですね。

 

 そうですね。貸主や管理会社に無断で勝手に修理や設備の変更を行った場合の費用は入居者の自己負担となり、貸主に対して請求することはできません。それどころか、設備の変更を行っていた場合には退去時に部屋の原状回復(入居時の状態に戻すこと)を要求されますので、必ず貸主または管理会社の承諾を受けてから行うようにしてください。
 また、入居中の消耗品などの交換は入居者負担となることが多いので、入居中の費用負担について「賃貸借契約書」とか「使用細則」で確認しておくか、または管理会社に問い合わせて確認しておくと良いでしょう。

 

 事前に仲介業者を通して確認することが大切ですね。

 

 そうですね。物件を探して検討する際に、気になる点は仲介業者にたずねて貸主または管理会社に確認を取っておくほうがいいですね。
 たとえば、エアコンなどが良く問題となります。貸主が取り付けているものか、前入居者が置いていったものなのかで、修理の費用負担が違ってきます。貸主が付けているものであれば基本的に修理、交換は貸主が負担することになるでしょうが、前入居者が置いていったものであれば、入居中に故障した時の費用負担はどうなるのか、修理不可能の場合の撤去費用は誰が持つのか、再度エアコンを取り付ける場合の費用はどうなるのか、などという事も事前に確認しておかなければトラブルとなることが多くあります。仲介業者の憶測の返答だけではなく、貸主または管理会社の回答を貰っておくようにしておいてください。

 

 仲介業者と管理会社の違いが何となく分かってきたように思います。

 

 それから、最近増加している問題としては、テレビのデジタル放送の受信方法とインターネットの接続方法なども事前に確認を取っておかれる方がいいでしょう。ケーブルテレビなどを利用する場合などは継続的に費用が発生しますので、物件選びの時点から仲介業者を通じて確認しておくことをお勧めします。

 

 契約までに気になることは遠慮せず仲介業者に聞くことが一番良いという事ですね。

 

 そうですね。契約前に確認していなかったことで入居後にトラブルになるケースがたくさんありますので、わからないことや不安に思うことがあれば、大阪宅建をはじめ不動産関連団体が窓口となる相談所で契約前に事前相談するのがいいでしょう。

 

 わかりました。ところで博士、管理に関して他に注意しなければならないこととかは無いですか?

 

 そうですね、区分所有建物の賃貸住宅、いわゆる分譲貸マンションの場合、区分所有者(貸主)からその部屋の管理を任されている[管理会社A]と、マンション全体の管理を管理組合から委託されている[管理会社B]の2つの管理会社が関わってくることとなります。[管理会社A]は主に部屋の中に関すること、いわゆる専有部分の管理を行います。一方、[管理会社B]は部屋の外側の共有部分に関する管理を行います。

 

 分譲貸マンションの場合は少し複雑ですねぇ。

 

 通常、部屋の中のことは[管理会社A]に連絡をすればいいのですが、共有部分に関する不具合や自転車置き場の利用、駐車場の利用、水道料金の精算などマンション全体の管理に関することは[管理会社B]に問い合わせる方がいいでしょう。
 ただし、部屋の中に漏水を発見しても、例えば、壁の中の水道管の破損による漏水などは、壁の中=共有部分にも関わってきます。まず、異常に気付いて、どちらに連絡すべきか判断がつかない場合は、部屋の管理を任されている[管理会社A]に連絡すればいいでしょう。

 

 わかりました。連絡先に迷ったら、まず部屋の管理を任されている管理会社に連絡をすればいいんですね。

 

 そうですね、管理会社とは入居中、長く付き合っていかなければならない関係ですから、普段からコミュニケーションを取っておくほうが良いと思います。

 

 宅建博士、どうもありがとうございました。賃貸借契約における、仲介業務と管理業務の違いについて詳しく説明していただき、それぞれの役割が良くわかりました。

 

 

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