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「不動産購入の注意点(境界問題)」

2015年1月21日 category:

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 こんにちは、今回は不動産を購入するにあたって、土地の境界についてどの様なことに注意をすれば良いのかというAさんからのご質問です。

 

 土地の境界について、日ごろの暮らしの中では意識している人は少ないように思います。

 

 確かに土地の境界は、国境の様にはっきりとした境界線があるわけでもなく、特に目立った目印でも無い限り、気にかける事は少ないですね。

 

 でも普段気にも留めない土地の境界が、隣地の売買や相続または建築を機会に、もめ事の原因となり、時には新聞紙上を騒がすような事件にもなりかねないのです。

 

 本当ですね、先日私の知人が、建物を新築しようとする時に、隣家の人から「境界より50cm空けて建てて欲しい」と言われたらしいのですが、その境界がどこか分からない為、建築計画が遅れて大変困っていると嘆いていました。

 

 そうなんです。隣人どうしで互いに境界が分かっている場合はともかく、明確な標識等が無く、境界が不明確な場合は、紛争にもなりかねないのです。

 

 だから、これから土地を購入しようとする人は、隣人との間でトラブルにならない為にも、境界についてしっかりと理解しておく必要があるんですね。
 では、どの様なことに注意をすればいいんですか?

 

 先ず、不動産に限らず物を買う場合、皆さんは数や量を確認しますね。
 土地も同じで、土地を購入する場合、売主は数量すなわち面積やその範囲を買主に示す義務があります。

 

 そうですよね、売買対象となる土地の範囲がどこからどこまでか売主に示してもらわないと、買主は分かりませんし、そうでないと戸惑います。

 

 売主は隣地との境界を買主に引き継ぐ責任がありますし、そのうえ面積を正確に伝えないと、売買価格にも反映されません。
 また、不動産売買を媒介してもらう業者にも、売主が示す境界が、地積測量図等の資料と整合性があるかどうかを調査してもらわなければなりませんし、その境界が隣地所有者の認める境界であるかを確認し、説明してもらわなければなりません。

 

 なるほど、土地の境界とは売主から買主へと引き継がれるもので、その告知義務を売主が負っているのですね。また媒介業者はその境界が適正かどうかを調査したうえで、説明する義務があるのですね。
 では、具体的にはどのように確認をするのですか?

 

 まず、隣地所有者の立ち会いのもと、売主が土地境界を買主に明示する事が基本です。
 境界の標が鋲や金属のプレート、コンクリート杭であれば分かり易いのですが、ブロックや柵等の場合では、その内か外か中心かによっても境界の位置は変わってきますので、明確に示してもらう必要があります。
 地積測量図等の図面があれば、境界の有無を照合することによって境界を確認しますが、図面が無い場合は明示のみの確認となります。

 

 境界が不明確な場合は明確にしてもらう必要があるのですね。

 

 そうです、境界が不明確な場合は隣地所有者との間で、もめる原因ともなりますので、境界を明確にするように、媒介業者を通じて売主に求めなければなりません。

 

 それと境界が明確でも互いに建物の一部(軒や庇や排水管等)が越境している場合などはどうするのですか?

 

 その様な場合は本来、互いに越境部分を取り除き、買主に引き渡す事が原則です。但し、困難な場合は、売主と隣地所有者との間で越境部分を確認した上で、建替え等の際に取り除くなどの約束をし、覚書などの書面によって買主に承継します。

 

 でも、境界の確認や越境についての同意が、隣地所有者より得られない場合はどうするのですか?

 

 売主と隣地所有者との間で境界について協議がまとまらない場合は、測量や登記の専門家である土地家屋調査士等に依頼するなどして、境界問題を解決したうえで、境界を確定してもらう事が大切です。
 ただし、売買価格と費用との兼ね合いもありますので、境界を確認する方法については、売主、買主、媒介業者三者で協議することをお勧めします。

 

 ここまで確認すると境界については完璧なのですね。

 

 そうですね。土地の所有権を確認する事においては問題ないですね。
 というのは、今までの境界の話は、お隣同士が納得すれば自由に変更し、決定し、処分できる境界、すなわち私法上の所有権における境界の話なのです。
 ところが、境界には私法上の境界(所有権界)と、国が認める公法上の境界(筆界)とが有るのです。

 

「筆界」
 土地を特定するために法務局に登記されている地番(土地の所在地)によって区分される境界。「公法上の境界」とも呼ばれ、公的に定められたものなので、個人の意思で変更することはできない。
 
「所有権界」
 隣接する土地の所有者間の合意等(売買または時効取得等)によって定められた所有権の及ぶ範囲の境目。「私法上の境界」とも呼ばれ、登記(分筆・合筆・所有権移転等)せずに放置されることがあり、必ずしも「筆界」と一致しているとは限らない。

 

 なぜ、公法上の境界である「筆界」と私法上の境界である「所有権界」があるのですか?

 

 そもそも、「筆界」は明治初期に国家の財政基盤を確立するための課税単位として、公的・行政的に形成されたものなのです。その後、長い年月を経るにつれ、土地の利用状態が変わり使いにくくなった土地を、お隣同士の話し合いで使いやすいように境界を変更することがあったのです。それが「所有権界」です。

 

 へぇ、そのような経緯があったんですね。
 でも、「筆界」と「所有権界」と2つの境界があると混乱しますね。

 

 「所有権界」は、あくまでお隣同士の合意により定められた境界ですので、合意をした本人が亡くなって相続が発生したり、第三者に売却することによって所有者が変わった場合に、境界紛争に発展しかねません。
 そのような紛争の発生を防ぐためにも、お隣同士で境界を変更した場合には、登記をすることで「所有権界」と「筆界」とを一致させておく必要があるのです。

 

 なるほど。それでは、私たちが土地を購入する場合、「所有権界」と「筆界」が一致しているかを確認することが必要なんですね。

 

 その通りです。公法上の境界である「筆界」は、当事者のみならず第三者にも対抗でき、紛争の無い安心・安全な土地となります。
 もし「筆界」が不明な場合は、確定してもらうよう媒介業者を通じて売主に求めることが大切です。

 

 では、筆界確定をする場合はどうすればいいのですか?

 

 この場合は、測量や登記の専門家である土地家屋調査士に依頼する必要があります。
 面積が相違したり境界線が異なっていた場合は、土地の面積を更正したり、土地を分筆し直すなど登記を変更する事も必要です。

 

 でも専門家に頼めば別に費用もかかりますよね。

 

 そうなのですが、土地は貴重な財産です。特に都会では地価は高く、その資産を守る為には多少の負担を覚悟する必要があります。
 物件を特定するのは売主の義務ですが、筆界確定までは売主の義務では有りません。
 そのあたりは売主、媒介業者とよく相談の上、売主に費用を負担してもらうことが難しい場合は、売買価格に加算するとか、別途買主が負担するとか、契約条件で取り決められたらよいですね。

 

 そうですね。一番の目的は、紛争に巻き込まれないようにすることですよね。
 それと、土地の筆界確定が出来ない場合があると聞いたのですが、どの様なケースですか?

 

 それは先ず、隣地所有者が境界の確認に応じない場合などが考えられます。例えば隣地との間で、もめ事があれば、境界の立会いをしたくないという人がいます。
 また、公図と現地との位置が整合しない場合もあり、この場合は筆界の確認はできませんし、筆界確定は困難です。

 

 もしAさんが購入しようとしている土地が筆界確定出来ない土地だった場合、どの様に対応すればいいのですか?

 

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 筆界の確認が出来ない場合は、媒介業者から良く説明を聞いた上で、納得できなければ購入を検討し直すことも必要です。
 このほかにも、土地の境界問題に関しては色々なケースがある為、必ず物件を購入する際に分からない事は、媒介業者に説明をしてもらい、納得できない場合は、事前に大阪宅建協会をはじめ不動産関連団体が窓口となる相談所までご相談ください。
 また土地家屋調査士等の測量や登記の専門家に相談する事も大切です。

 

 

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