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「生産緑地の2022年問題について」

2018年11月22日 category:

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 博士!最近生産緑地(せいさんりょくち)のことがよく誌面に書かれているんだけれども、そもそも生産緑地ってどういうことなの?

 

 まぁ今年に入ってからはよく耳にすることが多くなったと思うけれども、市街化区域内の農地等を計画的に残すための緑地地区のことなんだよ。

 

 ということは生産緑地=生産緑地地区になるの?

 

 生産緑地地区というものは、都市計画上、農林漁業との調和を図ることを主な目的とした地域地区のひとつであり、その要件等は生産緑地法によって定められた市街化区域内の土地のうち、一定の要件を満たす土地の指定制度(生産緑地地区制度)に沿って、管轄自治体より指定された地区で、農地または森林のことなんだよ。良好な都市環境を確保するため、農林漁業との調整を図りつつ、都市部に残存する農地の計画的な保全を図るものなんだ。

 

 そうなのね、生産緑地はどこのエリアに多いの?

 

 この生産緑地というものは、三大都市圏の市街化区域を念頭に定められた規定で、都市農地と言われることもあるんだ。指定地区数、面積とも東京都が最も多くて、国土交通省の資料によると、全国の地区数の約5分の1で、面積の約4分の1が東京都なんだ。また、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、大阪府の6都府県で、全体の8割近くを占めているようなんだよ。

 

 じゃぁ博士、ぼくは緑がいっぱいなのが大好きだから、生産緑地そのままでよいのではないの?
 また、平成の初めに緑地指定を受けたものはどうなっていくの?

 

 平成3年3月に生産緑地法が改正され、市街化区域内の農地としての生産緑地と、宅地化を進める農地とに分けられ、生産緑地では税制面で優遇される代わりに30年間の営農義務が課せられたんだ。改正生産緑地法が適用されたのは平成4年度からだが、現在の生産緑地の多くは初年度に指定を受けているため、ちょうど30年後の2022年に営農義務が外れることになるし、全国の生産緑地のうち、2022年が期限となるのは約80%とみられるんだよ。

 

 じゃぁ博士!税制面の優遇と営農義務がなくなった市街化区域内の農地はどうなるの?

 

 地方圏に限らず大都市圏でも空き家問題が深刻化するなかで、新たに都市部にある農地が宅地になって大量の住宅用地が生まれることが懸念されているんだよ。生産緑地における、2022年問題というものなんだ。

 

 なるほど。来年が2019年だからもうあっという間に2022年だよね。

 

 2022年問題で、生産緑地が放出され、同時に空き家も発生するという中で、営農者の高齢化などで転用が加速する可能性も考えなければならない。また、市街化区域内の農地における過去の転用状況をみると、三大都市圏、地方圏とも約6割が住宅用地、約4割が住宅用地以外となっている2022年以降の生産緑地対策として住宅用地以外の活用方法を探っていくこともこれからの大きな課題になるんだよ。

 

 それなら博士これからはどうなっていくの?

 

 生産緑地対策として、国土交通省は、市民農園等整備事業で生産緑地の買取りを後押ししており、2016年度からは面積要件を緩和してすべての生産緑地に対応できるようになってきたんだ。さらに、自治体が社会福祉施設への用地賃貸を斡旋するケースなども出てきているようだ。また、所有土地の面積が一定の大きさ、たとえば約5,000㎡の場合など特別養護老人ホームを運営する社会福祉法人に土地を定期借地権で賃貸することで、生産緑地を活用出来る事業となり、固定資産税評価額や相続税評価額を減額できるメリットも出てくるんだよ。これから数年の間にどのように変化していくのかを見ていくことも大事なんだよね。

 

 でも、農業をそのまま続けていく人もいるの?

 

 2022年に営農義務が外れても、引き続き農業を続ける人もいる。しかし、緑地指定時にたとえば55歳だった人は85歳になり、後継者がいない場合も多く、自治体による買取りが出来れば良いのだがそうでない場合には、相続対策も考えなければならない。生産緑地が一気に宅地へ転用されることはないとはいえ、このままでは農地の売却や賃貸住宅の建設などを検討する人は増えていくことになる。なお、生産緑地に指定された後の相続において自治体への買取りを求めず、相続税の納税猶予や免除措置が適用されている場合もある。そのときは、終身営農が課せられているんだ。

 

 実際は、なかなか農業を続けることは厳しいよね。

 

 緩和措置として、生産緑地法の改正で、生産緑地地区の面積要件の引下げや建築規制の緩和、そして特定生産緑地指定、田園住居地域の創設などが都市農業振興の基本計画として決定しているんだよ。

 

 都市型の農業ということになるの?

 

 2022年問題は、都市農業振興あるいは都市農地を活かしたまちづくりの基本になるのかもしれない。法改正により、2022年までに農家の意向によって、市街化区域内の農地についての方向性が変化していくこともあり、そのことは、2022年以降少なくとも10年間の都市農業振興や、都市農地を活かしたまちづくりのあり方を検討していく機会にもなるんだ。
 また、先ほどの話の続きで市区町村が利害関係者の同意のもと、新たに特定生産緑地として指定を受ければ、買取り申出が可能となる時期を10年先送りすることも可能になったんだ。指定面積の要件を従来の500㎡以上から市区町村の条例によって300㎡まで引き下げることや、特定生産緑地内において農産物直売所や農家レストランなどの設置も可能になった。

 

 なるほど、平成という元号ももうすぐ終了するけどその長い間にも、かなり変化してきているんだよね。
 どのようにすれば大切な財産を有効に残すことが出来るのかと悩んでいる人も少なくない。将来のことを悩んでいる場合や有効活用の悩みなどがある場合には、宅建業者などに相談してみたりするのも良いのかもしれないね。

 

 だから、大阪宅建協会をはじめとする相談所などで、いろいろなアドバイスなどを聞いてみるのも良いと思うよ。

 

 

 ライター 西本 淳一(北摂支部会員)