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「建築条件付宅地分譲について」

2019年1月18日 category:

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 皆さんこんにちは、今回は新築分譲住宅を購入する際に、「建築条件付宅地分譲について」教えてというAさんからの質問だよ。

 

 新築の「建売り住宅」とは異なる、俗にいう「売り建住宅」のことだね。

 

 売り建て?「建売り住宅」とはどう違うの?

 

 では、「建売り住宅」のことを少し学んだうえで「売建て住宅」すなわち「建築条件付き分譲住宅」のことを説明してみよう。

 

 博士よろしくお願いします。

 

 建物が建っていないのに、新築住宅分譲中というのぼりや看板をよく見かけるよね。

 

 チラシや広告でもよく目にするよね。

 

 「建売り住宅」も「売り建住宅」と同じように、建物が建っていない状態で広告されて販売されるケースが多く、これを青田売りと言うんだ。

 

 建物が建っているかいないかで「建売り住宅」と「売建て住宅」を区別する事はできないんだね。

 

 そうなんだ。「建売り住宅」の場合は、建築する建物が決まっていて、土地と建物をセットで販売するという形なんだ。

 

 建築する建物が決まっているのに、どうして建物を完成させてから販売しないの?

 

 建物を完成する前から分譲することによって、売主である宅建業者は売買代金を早く回収でき、買主である消費者も新築後、すぐに入居できるからだよ。

 

 お互いにメリットがあるんだね。

 

 その代わり、青田売りに関しては宅建業法や公正取引規約等の法律によって、いろいろ制限されているんだよ。

 

 買主も、まだ建物が建っていないから不安だものね。

 

 そこで、未完成の物件を販売する場合は、以下のように宅建業法による定めや、公正取引委員会の表示規約等によるいろいろな制約があるんだ。

 

 

宅地建物取引業法(国土交通省)
業法33条(広告の開始時期の制限)
《宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法第29条第1項又は第2項の許可、建築基準法第6条第1項の確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあった後でなければ》、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。
業法36条(契約締結等の時期の制限)
《上文》、当該工事に係る宅地又は建物につき、自ら当事者として、若しくは当事者を代理してその売買若しくは交換の締結をし、又はその売買若しくは交換の媒介をしてはならない。
不動産の表示に関する公正競争規約(不動産公正取引協議会)
第5条(広告表示の開始時期の制限)
事業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、宅建業法第33条に規定する許可等の処分があった後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の内容又は取引条件その他取引に関する広告表示をしてはならない。

 

 

 色々な決まりがあるんだね。

 

 そうだよ。青田売りの場合、行政の許可等を受けていないと広告や販売ができない。だから、未完成の「建売住宅」を販売する場合は、建築確認番号、入居予定年月日、主な設備の概要等を掲示する必要があるんだよ。

 

 なるほど、未完成でも建物は広告時点ですでに決まっているんだね。

 

 だから、「建売り住宅」では自由設計やフリープランなどはないんだよ。

 

 そうか、「建売り住宅」の場合は、建物の変更は原則できないんだね。

 

 一方「売建て住宅」とは土地を購入した後、宅建業者や宅建業者の指定する建設業者との間で建築請負契約を結ぶため、建物はある程度自由に設計してもらえるんだよ。

 

 ある程度?

 

 というのは、宅建業者にはいくつかのモデルプランが用意されており、買主の希望を取り入れ、建物の設計を進めていくんだよ。

 

 すべて注文建築とはいかないんだね。

 

 そうだよ。一から設計するには時間にも制約があるし、宅建業者も特別な注文に対応できないからね。

 

 そうだね。買主にも入居予定期日や予算の制約があるものね。

 

 だから、土地の売買契約を締結した後、限られた期間内に宅建業者が指定する建設業者(宅建業者)との間で間取りや仕様・図面等を作成し、建築プランを決定し、見積額を決め、建築の請負契約を結ぶんだよ。

 

 「建売り住宅」のように土地と建物を合わせて契約するんじゃないんだね。

 

 そう、建築の打ち合わせには、少なくとも2~3ヶ月くらいはかかるからね。

 

 土地を買ってから2~3ヶ月?

 

 その為に、条件をつけて予め土地の売買契約を締結するんだよ。

 

 どのような条件?

 

 もし、その期間(土地の売買契約締結後、最低2~3ケ月以上)内に建築プランがまとまらず建築請負契約に至らなければ、土地の売買契約は成立せず白紙解約になるという条件だよ。

 

 白紙解約?

 

 その場合、土地の売買契約は最初から無かったものとなり、手付金など支払ったお金も無条件で戻ってくるんだよ。

 

 そうなれば、お互い何もかも一から出直しだね。

 

 そうなんだ。「建売り住宅」のように、契約をしたからといって安心してはいられない。だから決まった時間内で建築プランが納得できるまで、十分に打合せしなければならないんだよ。

 

 ほかにどんなところが違うの?

 

 「建売り住宅」の場合は、建築に係る諸費用は建物代金に含まれているんだけど、「売り建住宅」の場合は建築確認や設計料などの別途費用も必要になるんだよ。

 

 そうか諸費用も異なるんだね。

 

 また、「建売り住宅」は土地建物の売買契約であり、「売り建住宅」は建築条件付土地売買契約と建築請負契約という2つの異なる契約となり、また契約形態も異なるため、以下の表に示すような契約上の相違点にも注意しなければならないんだよ。

 

 

 《契約形態の違い》
「建売り住宅」:土地建物売買契約
 土地建物とも宅建物業法による以下の制約を受ける。
 1.未完成物件の場合の手付金等の保全措置および金額の上限がある。
 2.仲介手数料は土地及び建物の総額
「売り建住宅」:建築条件付土地の売買契約+建築請負契約
 土地の売買契約は宅建業法による制約、建築請負契約は宅建業法による制約を受けない。
 1.仲介手数料は土地のみ
 2.建築請負契約の解除に関して違約金を請求される。

 

 

 契約の内容や法律による制限も違うんだね。

 

 また「売り建住宅」と「建売り住宅」とを区別するために、広告においても以下のような制限があるので確認しておくといいよ。

 

 

 【建築条件付き土地取引(売建て住宅)における広告の制限】
不動産の表示に関する公正競争規約(不動産公正取引協議会)
第6条......
(1)次の事項について、見やすい場所に、見やすい大きさ、見やすい色彩の文字により、分かりやすい表現で表示していること。
ア)取引の対象が建築条件付き土地である旨
イ)建築請負契約を締結すべき期限(土地購入者が表示された建物のプランを採用するか否かを問わず、土地購入者が自己の希望する建物の設計協議をするために必要な相当の期間を経過した日以降に設定された期限)
ウ)建築条件が成就しない場合においては、土地売買契約は、解除され、かつ、土地購入者から受領した金銭は、名目のいかんにかかわらず、すべて遅滞なく返還する旨
 1)当該プランは、土地の購入者の設計プランの参考に資するための一例であって、当該プランを採用するか否かは土地購入者の自由な判断に委ねられている旨
 2)当該プランに係る建物の建築代金並びにこれ以外に必要となる費用の内容及びその額

 

 

 このように、土地だけの新築住宅購入の場合は、「建売り住宅」と「売り建住宅」の違いなど、消費者には分かりづらいことが多いから、注意が必要だよ。

 

 もし、分からない場合や不安に思うようなことがあれば、法律の専門家にたずねることが大切だね。

 

 できれば、契約を締結する前に大阪宅建協会をはじめ不動産関連団体が窓口となる相談所まで相談して下さいね。

 

 

 ライター 西井 幸男(なにわ東支部会員)