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「建築基準法の基本事項について 後編」

2019/02/07 カテゴリー: その他

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下記記事のPDFファイル
(容量:314KB PDF形式)いったんPCへ保存したのち開いて下さい。

 

 

 皆様こんにちは。今回は前編に引き続いて第一種低層住居専用地域内で約50坪の土地を購入したAさんからの相談の続きだよ。Aさんの話によると「建ぺい率、容積率をしっかり守っても斜線制限というものがあって計画していたような建物が建築できない場合もあります」と役所の人に言われたそうなんだ。せっかく買った土地なので自分の思うような建物を建築したいというAさん。博士、なんとか力になってあげてよ。

 

 ちょうど後編でお話ししようと思っていたことなんだ。前編でお話した通り建築基準法の集団規定は大きく4つに分けることができると解説したよね。(詳しくは不動産取引Q&A 2018年7月31日up参照)
今回はその続きとして
C 建物の高さを制限する規制
①斜線制限 ②日影規制
Dその他
①第一種・第二種低層住居専用地域・田園住居地域内における特別の規制
②建物の敷地に対する規制(道路規制)
③防火・準防火地域内の規制 
について順番に説明していくね。

 

 博士、よろしく。

 

 まず今回Aさんの相談内容は「建ぺい率、容積率をしっかり守っても斜線制限というものがあって計画していたような建物が建築できない場合もあります」と役所の人から言われたということだったね。

 

 そうだよ。

 

 たくっち、Aさんが建物の大きさを守っても敷地内のどこにどんな高さの建物を建築してもいいということにするといろんな不都合が生じないかい?例えば、建物を道路に近づけすぎると道路上の空間を圧迫することになるし、また、隣地に近づけすぎると、隣地に日があたらないといったことになるかもしれないよね。

 

 まったくそのとおり。

 

 そこで、敷地内における建物の高さを規制しようとするのが斜線制限というものだよ。

 

 あまり高すぎる建物は、周辺の環境にもよくないし、ご近所の迷惑になるかもしれないからだね。

 

 そうだね。では早速この斜線制限についてだが、この制限には3つも種類があるんだ。①道路斜線制限②隣地斜線制限③北側斜線制限というものだよ。

 

 なんか難しそう。

 

 大丈夫。わかりやすく説明するよ。まず①の道路斜線制限だが、たくっち、狭い道路に面して高い建物が建つとどうなると思う?

 

 う~ん。道路の日当たりが悪くなるかな。

 

 だよね。お向かいの建物の日照や採光、通風などにも悪影響を与えるよね。そこで、この道路斜線制限をすることにより道路の上方を開放させることにしている。どういうことかと言うと前面道路の反対側の境界線から、建物の敷地の上空に向かって用途地域別に定められた勾配で斜線を引き、建物がその斜線の内側に建てられていなければならないとする規制だよ。

 

 だからお家の屋根は斜めなんだね。

 

 まあ、理由の一つではあるね。次に隣地斜線制限についてだが、これは隣地との関係でも上空を確保するように定められた規制だよ。また、隣地の中でも日当たりのことを考えると北側の隣地に対しては特に配慮する必要があるんだ。これによる制限が北側斜線制限というものなんだ。

 

 まだ他にもあるの?

 

 あるよ。次に日影規制(ニチエイキセイ)を見ていこう。この規制は主に中高層建物の高さを制限するもので、住宅地の中高層建物が周囲の敷地へ落とす日影を一定の時間内に制限することによって、日照を保護しようとするものだよ。結果、建物の高さが制限されるというしくみになる。次にDその他の①第一種・第二種低層住居専用地域・田園住居地域内における特別の規制を見ていこう。ところで、たくっちこの地域はどんな地域?

 

 この地域は「低層住宅に係る良好な住居の環境を保護する地域」だよ。

 

 ご名答。この地域では特に高い建物が建てられることを防ぐ必要があるんだ。なにしろ「低層」だからね。したがって、原則として建物の高さは10ⅿもしくは12ⅿまでに制限されることになる。

 

 これも環境を守るためだね。では博士、次に②建物の敷地に対する規制(道路規制)を教えて。

 

 いいよ。ところで、たくっち、街で見かける建物はほとんど全てといっていいくらい道路に面しているよね。当たり前すぎることだけどどうしてかな?

 

 それは普通に人や車の出入りは道路からするものだから。それと、火事の時、消防車が建物の前まで行けるようにかな?

 

 そうだね。これは接道義務といって建物は幅員4ⅿ以上の道路に敷地間口が2ⅿ以上接していなければならないという規制があるからだよ。敷地が道路に接していないと建物が火事になった時、消防車が近づけず、円滑な消火活動ができなくなってしまうことになるよね。そうなると、その建物が全焼してしまうばかりか、周囲にも延焼する危険性が大いにある。だからこの接道義務という規制が存在するんだ。この接道義務を満たさない敷地は原則として建物を建築することができないよ。

 

 なるほど。だから建物は道路に面しているんだね。でも何故道路の幅員が4ⅿ以上、敷地間口が2ⅿ以上なければいけないの?

 

 いい質問だね。道路幅員4ⅿ以上の根拠は消防車がスムーズに通行できるため、また敷地間口2ⅿ以上の根拠は、家が火事になった時、退避する人と救助する人とが衝突することなく、すれちがうことができるようにと言われている。人は2ⅿ以上の間隔があればすれちがいできるそうなんだ。

 

 規制にはいろいろな根拠があるね。なんか面白いな。

 

 では最後に③防火・準防火地域内の規制を見ていくことにしよう。都会の中でも特に建物が密集している市街地は火災から人々の生命、財産を守ることが重要になってくるね。そこで都市計画において、防火地域や準防火地域が定められる。防火地域は主に繁華街、すなわち商業施設が密集している地域に指定され、準防火地域は、都市部の住宅街を中心とした地域にかなり広範囲に指定されている。いずれも市街地の不燃化を図るために指定されるんだ。

 

 要するに燃えにくい街をつくるためだね。

 

 その通り。ただ、指定しただけでは意味がないので、実際に火に強い建物を建てるよう制限する必要がある。では「どのような火に強い建物を建てなければいけないのか」という制限、これが防火地域・準防火地域内における建築制限というものだよ。

 

 具体的にはどういったことなの?

 

 簡潔に言うとこの防火地域・準防火地域内で「一定規模以上の建物を建築する場合には耐火建築物あるいは準耐火建築物としなければならない」といった規制だよ。燃えない建物を建築する必要があるということだね。

 

 ほんと、家一軒建てるということは大変だね。

 

 ほんとだね。しかし、これらの規制で安全で安心な住みよい街が形成されるわけだから守っていかなくてはいけないよ。

 

 博士わかったよ。今日は本当にありがとう。Aさんもいろいろな規制があるけれど、是非、素敵なお家を建ててください。

 

 

 ライター 長村 良二(北摂支部会員)