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「建ぺい率と容積率について」

2019年12月24日 category:

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 皆様こんにちは。今回は第1種中高層住居専用地域内で約30坪の土地を購入したAさんからの相談だよ。Aさんの話によるとせっかく買った土地なので敷地目いっぱいに家を建てようと思ったら役所の人に、「建築基準法で建ぺい率や容積率という制限があるのでそれはできません」と言われたそうなんだ。これってどういうことなの?という相談内容だよ。博士教えてよ。

 

 そうだね。誰しもせっかく買った土地だし敷地を最大限有効利用して建物を建てたいよね。目いっぱい使えるものなら使いたいね。でも、たくっち、もし敷地目いっぱいにお隣との隙間もなく家を建てるとどうなると思う?

 

 う~ん、そうだなぁ、風通しとか陽当たりとかも悪くなると思うけど、それよりも、もし火事になったらお互いすぐ隣に燃え移ってしまうな。すごく危険だよ。

 

 そのとおり。家と家の間隔がなければそういったことが起きてしまうね。そこで建築基準法という法律で建物の建築面積の敷地面積に対する割合をきめてあるのさ。それが「建ぺい率」というものだよ。例えば敷地面積100㎡で建ぺい率60%ということであれば60㎡までは建築面積に使っていいけれど、あとの40㎡は周囲に隙間あけてよね。といったことだよ。

 

 そうなの。自分の土地だからと言って好き勝手に目いっぱい使えないのか。

 

 そのとおりだよ。

 

 じゃあ博士、その建築基準法という法律の概略をちょっと教えてよ。

 

いいよ。

まずこの建築基準法は、日本における建築物の最低基準を定めた法律で、昭和25年施行の歴史ある法律だよ。全体構造としては集団規定と単体規定というものがあって、集団規定というのは原則として都市計画区域内の建築物に対して規制を加えるものだよ。山深い周りに他の建物がないところであればどんな建物を建てても他の建物に迷惑をかけることはあまりないよね。だけど住宅地の真ん中に大規模な工場を建てたら周辺の住民は住めなくなるかもしれないよね。だから街の中の建物については特別の配慮が必要とされる。そこで建築基準法では都市計画区域内の建築物に対してのみ適用される規定を定めている。それが集団規定というものだよ。もう一つの単体規定というものは全国どこの建物であっても適用される規定だよ。例えば大規模な建築物については一定の基準に従った構造計算によって安全性が確かめられたものとしなければならないとか、部屋には窓を設けなさいとか建物そのものに対する種々の規定だよ。建ぺい率や容積率もこの集団規定というもののなかで決められているよ。

 

 

 そうか。街の中での規定と建物自体との規定に大きく分かれるのか。

Aさんが買った土地は第1種中高層住居専用地域内だから街の中。だから都市計画区域内だね。ということは集団規定が適用されるわけだ。それで建ぺい率や容積率の制限があるわけだ。そこに建物を建てるのだから当然単体規定も適用されるということになるね。

 

 さすがたくっち。いつも鋭いね。感心するよ。

例えば高級住宅地街であれば空地をたっぷりとって良好な住宅環境を維持すべきなのに対し、商店街は商売の効率を重視して空地の確保にはある程度大目にみる必要があるよね。このようにその用途地域に相応しい建ぺい率というのが定められている。Aさんの場合も役所で確認してもらうといいね。あと特定行政庁の指定する角地であれば10%の緩和という措置もあるよ。

 

その角地なら10%緩和というのはどういうこと?

 

 たくっち、角地って隣はなんだい?

 

 道路かな?

 

 だよね。道路に家ってある?

 

 ないよ。

 

 お隣に家がないのならもし火事になったとしても、延焼しにくいよね。だから角地の場合、建ぺい率が10%加算されることがあるのさ。

 

 なるほど。次に容積率の規制について教えてよ。

 

 いいよ。容積率とは建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合のことだよ。例えば1階から3階までの各階床面積が60㎡、4階が20㎡の建物があったとしよう。延べ床面積は60㎡×3+20㎡で200㎡。敷地面積が100㎡なので、容積率は100分の200 つまり1分の2 200%ということになる。

 

 敷地面積の2倍だね

 

 なぜ、こういう規制があるのかといえば、階数や各階の床面積を増やして、建物を大きくすると、その分だけ建物に出入りする人の数も増えることになり、土地を有効に活用することができるよね。しかし、その反面、住宅街に大きな建物が建ち並んで、人通りも多くなれば、静かな環境は望めないし、狭い道路に大きな建物がいっぱいあると、その道路はその建物を利用する人で混雑し、交通渋滞が発生する。そこで、この容積率を制限して地域の環境をよくしていき計画的に公共施設を整備していこうとしているのさ。また建ぺい率と同様この容積率も用途地域別によって定められているよ。

 

 博士、ものすごくわかりやすいよ。

 

 あと前面道路幅員による容積率の制限というものもあるよ。例えば容積率200%の地域で前面道路が4mだったとしよう。ここにその容積率200%目いっぱいの建物を建てた場合、もし、火災が発生したらたくっち、どこに逃げる?

 

 道路だよ。

 

 そう。道路だね。幅員4mってあまり広い道路とは言えないね。そこに一度に大勢の人が逃げ込むと折り重なって危険だよね。だから容積率200%と定められた地域であっても住居系の用途地域の場合、その前面道路の幅員に10分の4をかけたものがその容積率となるのさ。商業系の用途地域は10分の6。住居系の用途地域で前面道路4mだと4m×10分の4で160%となってしまう。200%の建物より小さいとそれだけそこに住む人数が少なくなるからだよ。なるだけ住む人数を制限して災害を防ごうとしているのさ。もし6mだと240%になるけどこの場合どちらか小さい方が適用されるようになる。すなわち都市計画で定められた200%が適用されるようになるよ。

 

 

 いろいろ考えられているなぁ。博士、今日はありがとう。

 

 

 

 ライター 長村 良二(北摂支部会員)