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「宅地造成等規制法・文化財保護法・その他法令上の制限について」

2020/06/26 カテゴリー: その他

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下記記事のPDFファイル
(容量:312KB PDF形式)いったんPCへ保存したのち開いて下さい。

 

 

 皆様こんにちは。今回は自宅を建築する目的で土地購入を検討しているAさんからの相談だよ。Aさんの話によると、気に入った土地が見つかったので設計士に相談したところ「この物件は宅地造成工事規制区域内にあるので、工事に際し知事の許可が必要となることがありますよ」ということを告げられたそうなんだ。これって博士いったいどういうことなの?教えてよ。

 

それは宅地造成等規制法という法律に基づくものだよ。たくっち、お家はなにも平らな土地のところばかりに建っているとは限らないよね。

 

うん。眺めのいい高台にだってたくさんお家が建っているよ。

 

 そうだね。でも高台の土地というのは、そもそも平らな土地でないから山を削ったり、土を盛っている場合というのもたくさんあるよね。

 

 あるある。

 

 そのように山を削ったり、土も盛って土地を平らにして建物を建てられるようにすることを「宅地造成」というんだ。ちなみに山を削る(土を削る)ことを切土(きりど)、土も盛ることを盛土(もりど)というんだ。覚えておいてね。

 

 切土と盛土だね。

 

 ところで、そんな場所でいい加減な宅地造成をされると危ないよね。もし災害が発生したらお家が傾いたり流されたりするかもしれないね。そこで、都道府県の知事さんはこういった宅地造成に伴い災害が生ずるおそれが大きい市街地または市街地になろうとする土地の区域であって、宅地造成に関する工事について規制を行う必要のあるものを宅地造成工事規制区域として指定することができるんだ。

 

 ということは、Aさんはその知事が指定する宅地造成工事規制区域内の土地の購入を検討しているということだね。

 

 そのとおり。

 

 じゃあ、実際、平らな土地にお家を建てる場合と比べて何が違うの?

 

 いつもながらたくっちは鋭いね。急所を突いてくるね。

 

 いや~博士、それほどでもないよ。

 

 その前に宅地造成工事とは具体的にどんな工事なのかをおさえていこう。
以下に述べることにするよ。
宅地以外の土地を宅地にするために
①切土で切土部分に2ⅿをこえる崖が生じる場合
②盛土で盛土部分に1ⅿを超えるがけが生じる場合
③切土と盛土で盛土部分に1ⅿ以下の崖が生じ、かつ切土と盛土をあわせて2ⅿを超える崖が生じる場合
④①~③以外で、切土又は盛土の面積が500㎡を超える場合、
これらの工事を宅地造成工事というんだ。

 

 へぇ~いろいろと取り決めがあるんだね。じゃあ博士、宅地を宅地以外の土地、例えば農地なんかにする場合はこの宅地造成工事に該当しないの?

 

 そう、該当しないよ。宅地以外の土地を宅地にするためというのが前提だよ。

 

 わかった。

 

 そこで、Aさんがその購入を検討している土地で、先に話をした①~④に該当する工事をするならば造成主として当該工事に着手する前に都道府県知事の許可を受けないといけないよ。

 

 なるほど。

 

 また、この規制区域内で中古住宅を購入する場合でも、将来、増改築したり、建て替えたりする時、既存の擁壁をやりかえなければならないこともあり得るので、役所で必ず確認することが大事だよ。このほかにも、都道府県のがけ条例によって建築物の建築がさらに厳しく規制されることもあるから注意が必要だね。

 

 博士ありがとう。以前お話ししてもらった都市計画法や建築基準法、今回の宅地造成等規制法と、お家を建てるにはいろんな法令が絡んでくるのがよくわかったよ。あと何か注意しないといけない法令はある?

 

 そうだね。都心部でよく該当する文化財保護法という法令があるよ。その中で「周知の埋蔵文化財包蔵地」というものが規定されているんだ。ここで何か建物を建てようと思った場合に、土の中から例えば縄の模様のついたお皿とか壺とか、埴輪さんとか埋蔵文化財と呼ばれるものが出てくる可能性のある場所なんだ。

 

 なんかロマンだね。その「周知の埋蔵文化財包蔵地」に該当するのかどうかどうすればわかるの?

 

 それは各市町村の教育委員会に照会すれば教えてくれるよ。もし自分の買った土地が該当した場合、工事着手の60日前までに市町村に届け出なければならないよ。
 お家を建てたらダメなの?不安だな。

 

だよね。都道府県、市町村の教育委員会が協議した結果、事業中止・全面現状保存の指示ということもあるし、事業計画の一部変更の指示というのもあるよ。ただ一番多いのが事前発掘調査を実施する旨の指示というものだよ。「発掘届」というものを提出して調査するんだ。その結果文化財が発見されないこともあるし、また発見されれば特定行政庁の指示に従うということになるよ。周知の埋蔵文化財包蔵地に該当しているからと言って、お家がまったく建てられないということはないよ。ただ、いろいろと手順を踏まないといけない。不動産の購入を検討するときはこういったこともきちんと調査しないといけないよ。

 

 わかった。ありがとう。ほかは?

 

 土壌汚染に関する土壌汚染対策法や河川の近隣で建築する場合に関係してくる河川法、空港周辺では航空法といったように都市計画法、建築基準法、宅地造成等規制法や文化財保護法以外にもお家を建てるときに考慮しないといけない様々な法令があるよ。

 

 お家を建てるって大変だね

 

 本当だね。

 

 土地や家を買うとき大阪宅建協会の会員さんならしっかりと調査してくれるし安心だね。

 

 まったくそのとおりだよ。

 

 Aさんも検討している土地が、何か他の法令の制限を受けないかどうかご自身で調べてみてください。博士どうもありがとう。

 

 

 ライター:長村 良二(北摂支部会員)