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「宅建業者が売主の場合の注意点-その1-」

2021/01/07 カテゴリー: 売買

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下記記事のPDFファイル
(容量:384KB PDF形式)いったんPCへ保存したのち開いて下さい。

 

 

皆様こんにちは。今回は未完成だけど気に入った建売住宅が見つかったので購入を検討しているAさんからの相談だよ。Aさんの話によると、その物件は宅建業者の自社物件で直接契約することになるらしい。媒介とか代理ではないので手数料は不要とのことだけど「売主と直接契約なので少々不安です。何か注意点はないですか?」との相談だよ。博士、どうなの?

 

売主である宅建業者との直接契約だね。プロ対素人さんの構図だな。Aさんの気持ちわかるな。相手がプロだから安心できるという考えもあるし、その反面プロ故に自分に有利な条件を押し付けられてしまうということもあるかもしれないね。

 

そうだよ。こちらは素人だからやっぱり不安だよ。

 

まず、宅建業者が代理や媒介の取引態様である場合、業者が受領できる報酬には限度額があるよね。これに対して自社物件、すなわち宅建業者が自ら売主の場合、いくらで仕入れていくらで売ってもかまわないのさ。制限がないのだよ。極端な話1億円で仕入れて2億円で売ってもいいのさ。

 

ほんと!儲け放題だね。

 

いやいや、損する時もあるから儲け放題とはいかないよ。いずれにせよ、このような場合、素人さんである買主の無知につけこんで、売主である宅建業者が自分に有利な条件で契約を締結してしまうことも十分考えられるよね。

 

まったくそのとおり。

 

そこで、宅建業法では、宅建業者が自ら売主となり、買主が一般消費者である場面において、以下の8つの制限を設けているのさ。

 

クーリング・オフ

②手付の額・性質の制限

③手付金等の保全措置

④損害賠償額の予定等の制限

⑤自己の所有に属しない物件の契約締結の制限

⑥担保責任についての特約の制限

⑦割賦販売契約の解除等の制限

⑧所有権留保等の禁止

 

いろいろあるね。

 

そうだね。これらの制限は宅建業者が自ら売主となり、買主が一般消費者である場面だけに適用されるのさ。売主も買主も一般消費者、あるいは宅建業者、売主が一般消費者で買主が宅建業者である場合は適用されないよ。プロ対素人さんの時だけなのさ。

 

では博士、具体的に内容を説明してよ。

 

まず①クーリング・オフだけど、これは過去の記事に詳しく掲載しているからそちらを参照してね。

②の手付の額・性質の制限だけど、例えば、たくっちが1億円の物件の買主になった場合、売主である宅建業者から「契約するなら手付金は5千万円」と要求さたらどうする?それでないと売らないなんて言われたら?

 

困るよ!物件価格の半額が手付金なんてありえない!

 

だよね。

こんなことが起こらないよう宅建業者が受領できる手付の額は代金額の10分の2までと決められているのさ。

もし宅建業者が10分の2を超えて受領しても超えた部分は無効になるよ。また手付の性質に関しては解約手付とみなされるよ。

相手方が契約の履行に着手するまでは買主はその手付を放棄、売主はその倍額を現実に提供して契約を解除することができる。この原則に反し買主に有利なものは有効だが、不利な特約は無効になる。

例えば買主が解除するときは手付の放棄、売主が解除するとき手付の返還。これだと買主に不利だよね。こんな特約は無効なのさ。

 

なるほど。

 

次に③手付金等の保全措置について。

今回Aさんが検討している建売住宅は未完成ということだね。

例えば販売価格が4,000万円で手付金は800万円と要求されたら、たくっちどう思う?

 

手付の額は先ほど博士に教えてもらった10分の2までだけど、建物も完成していないのに800万円も支払うのはちょっと不安だな。

 

そうだね。不安だよね。

もし、引き渡し前に宅建業者が倒産したような場合、家は手に入らないしお金は戻ってこないなんてことになりかねないよね。

そこで宅建業者は、引き渡しができなくなっても買主から受領したお金だけは確実に返還できるように、あらかじめ手付金等の全額について保全措置を講じた後でないと手付金等を受領してはいけないことになっているのさ。

 

それなら安心できるね。

 

ただ例外があるよ。

①買主が所有権の登記をしたとき

②未完成物件で代金の5%以下かつ1,000万円以下、完成物件で10%以下かつ1,000万円以下

このような場合、宅建業者は保全措置を講じなくてもいいことになっている。

今回Aさんの場合、未完成物件なので宅建業者が保全措置なしで受領できる手付金は代金4,000万円の5%以下、すなわち200万円以下となるのさ。

仮に宅建業者が保全措置を講じたとしても手付の額の制限10分の2を超えて受領することはできないよ。

 

そうなんだ。

 

また、手付金は保全措置を講じなくてもよいが、中間金の支払いがある場合で、その中間金と先に受領した手付金とを合わせると制限額を超えてしまうような場合、宅建業者は先に受領した手付金とともにその中間金を受領する前に保全措置を講じないといけないよ。

Aさんの例だと例えば手付金は200万円。これは保全措置不要だね。中間金の支払いが200万円。手付金と合わせると400万円。中間金200万円を受領する前に手付金と合わせ400万円の保全措置を宅建業者は講じないといけないよ。もし、仮に保全措置を講じないのであればAさんは中間金を支払わなくてもいいのさ。

 

いろいろと買主のために考えられているね。次は④損害賠償額の予定等の制限だね。

 

損害賠償の予定というのは、もしお互い約束を破った時、その損害賠償額をあらかじめ決めておきましょうという主旨のものだよ。債務不履行による損害賠償は、債権者が実際の損害額を証明し、その額を債務者に請求するというのが原則だ。

しかしこの証明は難しく手間も時間もかかる。そこで前述した決まりが登場というわけだ。損害賠償額の予定または違約金を定める場合には、合算して代金額の10分の2を超えることはできないと定められている。これに反する特約で10分の2を超えるとその超えた部分は無効となるのさ。

なるほど。やたら高額な損害賠償額の予定を設定されたら買主が困るからだね。

 

そのとおり。宅建業者の暴走を防止するのさ。

 

いろいろな決まりがあるね。博士、今日はありがとう。あとの4項目については、また次回ということでお願いします。

 

了解。

 

 

 

 ライター:長村 良二(北摂支部会員)