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「現地調査① -土地・道路・境界-」

2021年5月10日 category:

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博士!最近の気温を見ていると、これからまた夏にかけてかなり暑くなりそうな雰囲気がしているんだけど、どうなのかなぁ?
これって地球の境界に問題があるんじゃないの?

 

うむ、地球の境界や温暖化のこともさることながら、君がいま考えなければならないのは、そんなに大きなことではなくて 個々の不動産(戸建)のことだよ。今年の夏も暑くなりそうだけれども、今回のテーマは、現地調査についてだから、物件調査の中でも、公簿や法令上の制限等の確認 現地確認やヒアリング、インフラの確認等が主な内容だ。まずは、道路と土地の接し方、そして道路と接している土地の境界がどこの部分であるのかということだ。しかし、これに関しては 過去の資料や現在の資料だけでも十分ではなくて、分かりにくいことが多いんだよ。だから、不動産を取引する場合、平面的な資料だけでは十分と考えず、必ず現地を確認して立体的に総合的に見て、適切にヒアリングするということが大切なんだ。

 

いやしかし、そう言ったってどこをどう見て行ったら良いの?重要事項の説明書を作るだけなら、現地を見なくても出来そうなんだけれども・・・僕だって、書類作成だけなら得意だよ?・・・

 

しかし君ね、宅建士の資格は持っていても、現地の見方や実務が理解できていない人は、ベテランの方でも、まぁまぁ多いんだよ。しかし、現地調査というものは、道路調査から始まって道路調査に終わるなんてことも言われているんだけれども、経験を積んでいかないと、ただ現地を見て写真を撮っただけでは、その物件のどの部分の何がポイントなのかさえも分からないことが多いんだ。すべて現状有姿という文章だけで完結させていくわけにもいかないんだよ。
ただ、どちらにしても、まずは現地の道路から見ていかないといけないんだけれどもね。

 

博士!道路って、現地に行って写真撮って、道路の幅や側溝、そして、接道を見るだけでよかったのかなぁ?

 

不動産を購入される予定の買主の方が、どの様な目的で購入されるのか?は、とても重要なことなんだが、こうした土地をこれからどの様に利用していくことができるのか? また、その土地によって、建物における敷地自体の利用価値が変化するということを考え、価格に影響するということも含めて現地を見ていかないといけないんだよ。

 

ということは、まずは建築確認の許可がスムーズにOKになる土地なのかどうか?その土地が建築基準法上の道路に接しているのかどうか?ということ?

 

ただ単に、その用途指定の建蔽率、容積率が表示されていても、敷地が道路に2m以上接していないと建物を建てることができない。もちろん他人所有地が介在していると接道していないことになる場合がある。また道路幅員によって容積率も変化し、建築予定物の高さにも影響するから注意が必要だ。中古物件の場合、再建築が可能であるのか否かも含めて、道路の調査はこうした建築計画にまで大きく影響を及ぼすので、最初の確認としてはとても重要なわけだ。このため対象の道路が、建築基準法上どのような種類に属するのかを調査する必要があるんだ。参考に、大阪市のHPから主な道路(建築基準法上)の種類を見てごらん・・・

 

 

 

www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/cmsfiles/contents/0000012/12045/douro_syubetu.pdf(大阪市HPより)

 

 

ということは、公道、私道、そしてセットバックがある場合や側溝規定(行政により異なる)の確認など、また、公道の場合には、道路明示があるのかどうか、官民境界が明確なのかどうか?だよね。 また、道路境界と民地の境界までがはっきりしているのなら建築計画で建蔽、容積一杯まで消化すれば、どれくらいのボリュームのものが建つのかも細かく計算しやすいよね。

 

道路種別だけでなく、前面道路については、所有者、管理者 を必ず確認して、道路幅員についても側溝(敷地内、敷地外)や認定幅員等も含めてしっかり確認することが必要なんだ。
建物を新築する場合に、建築できるのか否か?どのくらいの建物が建つのか?中古物件なら、同種同規模の物件が再建築できるのか否か?にも影響するんだ。また、購入予定者(買主)が購入目的を達成できるかどうかに左右される重要な項目でもある。もちろん、実測図だけでなく、土地の確定測量図や筆界確認書まで確認することが大事だよ。
また、公簿との違いがある場合の確認や、セットバックした場合の有効宅地面積も重要だ。
まぁこの程度なら、専門業者でなくても、一般的に営業マンが十分確認できる基本的な内容なんだけれどもね。

 

では博士!公図や地積測量図、そしてそこに書いてある境界種類や位置は現地と合致していると考えてよいの?

 

そうとは限らないよ、図面通りに境界標が入っていない場合や、地積測量図とは違う種類の境界標が現地に入っている場合もあるんだよ。実際、昭和52年の法改正により、地積測量図に境界標や引照点の表記が規定されたんだけれども、もちろんその時点では義務化はされていないから記載されてなかったものもある。それ以降で、国民が求めている現地復元性のある図面での財産や権利を守るための面積を表示するものに変わっていったんだからね。
だから、昔の公図や地積測量図は、現地復元時では合致していないものも多いんだよ。君もその程度は、一般的な知識として理解しておかないといけないよ。

 

では博士!こうした現地調査の際の見落としがちなポイントについても少しだけかんたんに教えてよ・・・

 

先ほどの官民境界(官有地側)や民民境界(民有地側)の確認のことから始まって、たとえば 越境物がある場合に現地で確認できていない場合や、地中埋設物の現地未確認、上空障害物などの現地確認が出来ていない場合など、また 図面や平面的な資料等では分かりにくい 現地での隣地高低差や境界付近の擁壁など、宅地内での高低差、敷地内(道路側ではない)の側溝などの現地確認が甘い場合だよ。

 

なるほどね、そういえば、越境物といえば植栽などもそうだよね
この様なことも確認しておかなければならないの?

 

もちろん、そうしたものは比較的容易に現地で確認できることだよね。再建築時に建築計画に支障が出てくる場合も現実的にあるわけだから当然、注意が必要だよね。

 

公図や地積測量図、概要書が現地と合致しているかどうかって、難しくないの?わかるのかなぁ?

 

それはもちろん、自分自身で努力して説明できる様にしておかないといけないね。まずは基本的に図面資料を理解して読めなければ、たとえたくさんのチェック項目を知っていたとしても、どこがポイントなのかさえ分からないし現地での確認はもちろんできない。また次にどの資料が必要になるのかさえも分からない。 土地の資料だけでなく、中古物件の場合は、建物の建築図面や建築確認なども 現地と一致しているのか?申請時の道路状況や道路幅員なども総合的に見ておく必要がある。だから普段からお客様の前でも三角スケールなどですぐに図面を見ることが出来る様になっていないといけないよね。また本来は、土地や道路を見たときに、方角、土地形状、間口、奥行、道路側高低差、隣地側高低差や、その延長線上で工事車両の進入路や車を駐車した際の配置や外構計画まで、建替えや新築までをイメージして説明できれば、購入予定者(買主)の方も満足してスムーズに理解しやすいよね。
それに加えて最新のマーケット状況まで説明できればさらに素晴らしいよね。

 

宅建士って宅地建物取引士だから、やっぱり土地だけでなく、建物についても明確に説明できないといけないということ?

 

もちろんだよ、君が買主の立場だったら土地も建物も、現状有姿という言葉や文章だけではなくて、明確に説明してほしいと思うだろう?・・・
また、2020年8月からはハザードマップの説明が義務化されているので、これは建物ではなく、土地の説明時に、間違ったことを伝えない様にしないといけないんだけれどもね。

 

しかし、あらゆる現地での経験と図面や資料等の分析能力がこれから必要になってきそうで怖いよ・・・

 

そうなんだよ、いま述べてきたのは基本的な内容の一部だから君も法律の条文だけを勉強するのではなく、日々研鑽していかないといけないね。テキストや資料を見ながら、ただ単に項目を見て平面的にチェックしていってOKというのではなくて、実際の現地の物件を見て理解しながら瞬間的に、その物件の特性を見いだせる様にこれから経験を積んでいく様にした方が良いよ。
また、テキストで法律項目の勉強や実例の勉強をするのも大事だが、自分自身で実際の現地を見て経験して、いかに感じとることが出来るのかがもっとも大切だということなんだ。
また、知ったかぶりをせずに、謙虚にヒアリングしていくということも・・・

 

そうだよね
これからまた暑い夏が来ることを思えば ぞっとする感じがするけれども、今後は先ほど出てきた建物の状況の詳細や中古建物のポイント設備インフラについても 少し勉強していきたいな・・・

 

もしわからないことや 不安に思うようなことがあれば、ふと考えたその時に、土地や建物の相談、また専門家の相談を受けてみたり、今まさに悩んでいるという場合においても、大阪宅建協会をはじめとする相談所などで様々なアドバイスなどを聞いてみると良いかもしれないね。

 

 

 

 

 

 ライター:西本 淳一(北摂支部会員)