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「宅建業者の調査・説明義務(媒介)について」

2021年6月 8日 category:

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博士、今回は家を売る時や買う時の宅建業者(媒介業者)さんの調査・説明義務について教えてくださ~い。

 

そうだね。前回(第65回)は「売主の説明義務について」の話をしたけど、今回は宅建業者の中でも媒介業者の調査・説明義務についての話をしよう。

 

媒介業者さんには、家を売ったり買ったりする上で、いろいろと世話になることが多いから、よろしくお願いします。

 

そうだね。媒介業者には不動産取引を通して、色々な役目があるのだけど、その中の一つに調査・説明義務というものがあるんだ。

 

へえ~そうなの。

 

その仕事の基本が、社会一般のル―ルである「民法」に記載されているんだ。

 

法律の中で定められているのか。

 

通常、私たちは家を売ったり買ったりする場合、媒介業者さんに依頼するよね。
買う人を見つけたり家を探したりするのは大変だし、まして手続き自体わからないものね。

 

その際に、自分の代わりに他人に物事を頼むことを、民法では委任というんだよ。

 

そうなんだ。

 

中でも、宅建業者に仲介を委任する事を媒介というんだよ。又、主な内容が事務処理をする為、委任行為に準ずる行為(契約当事者でない為、法律行為まで含まれていない)とされていて、これが媒介業者の法律上の役割なんだ。

 

へえ~

 

その為、媒介業者は「善良なる管理者としての注意義務」(以下、善管注意義務)をもって、取引を通じて業務を行うこととされているんだ。

 

善管注意義務?

 

簡単に言うと、業務を委任された人の職業や専門家としての能力から考えて、通常期待される注意義務のことを言うんだよ。

 

そうか、それに基づいて媒介業者さんは調査・説明する必要があるんだね。

 

不動産を売買する場合、物件の紹介、案内にはじまり、契約の締結から物件の引き渡しとその他にも、不動産の専門家として注意しなければならないことがたくさんあるんだ。

 

媒介業者さんの仕事は思っている以上に多いんだね。

 

そこで宅地建物を扱う業者としての法律、すなわち宅建業法は以下の表のように役割を義務付けている。

 

 

 

 

 

これが宅建業法にある調査・説明義務に関わる条文なのか。

 

そう。Ⅰつ目の不動産取引について、宅建業者は「信義を旨として誠実にその業務を行う」つまり、不動産業務全般における注意義務なんだ。

 

取引全体を通しての宅建業者のプロ意識のことだね。

 

例えば、自己の利益に関わらず契約に支障があれば契約を進めないとか、契約から取引に至るまでに何らかの不備があれば未然に解決するとか、宅建業者には取引全般にわたって誠実に進める義務があるんだ。

 

取引を安心安全に進めるには大切なことだよね。

 

そう、時には媒介業者として、契約を再考することだって必要なんだよ。

 

「善良な管理者」だものね。

 

Ⅱつ目は媒介業者が契約前に必ずしなければならない重要事項説明書の説明だけど、これもとても神経を使う大切な役目なんだ。

 

名前からして重要な感じがするもんね。

 

これは買主が購入する不動産について、専門家の立場から法律規制や権利関係などの重要な事項を買主に説明するもので、宅地として利用する際の建築制限や利用制限、法律上の欠陥等買主にとっての重要な事項を
「1.対象となる宅地又は建物に直接関係する事項」
「2.取引条件に関する事項」
「3.その他の事項」
「4.区分所有の補足事項」
にわけて買主に分かりやすく詳細に説明をするんだ。

 

重要事項説明書には色々な説明項目があるんだね。

 

Ⅲつ目の書面の交付については、以下の内容を記載しなければならない。

 

 

 

 

通常、売買契約書というものだね。

 

このように媒介業者は、色々な項目を調査・説明する義務があるんだよ。

 

売主の説明義務と違って多種多様だね。

 

そう。売主の確認や権利関係の確認、建築する際の法律規制や用途制限など、一般人では調査しにくい事は、調査・説明しなければならないんだよ。

 

これらが宅建業法で定められた不動産の専門家としての義務なんだね。

 

でもね、媒介業者の善管注意義務の中での調査説明義務は、土地や建物自体の専門的な調査や説明までは要求されていないんだ。

 

たとえば?

 

土地の地質や地盤、建物の強度などは目視程度で分かる場合を除き、土木や建築の専門家でないと分からないだろう?

 

なるほど、その場合はどうするの?

 

通常、媒介業者は目で確認したり、ヒアリングしたりするしかないんだ。その為、不明なことは、専門家による調査を契約当事者に助言するしかないんだ。

 

なるほど、そこまで専門的な調査説明責任は業者にはないんだね。

 

ただ、Ⅳつ目の業法の禁止事項として、「故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為」は禁止されているのでその際、媒介業者は包み隠さず、分かる範囲で調査説明しなければならないんだよ。

 

そうなんだ。

 

さらに、この令和2年の4月から民法が改正され、「契約不適合責任」という条文が加わり、売主の説明義務が重要になったことに合わせ、媒介業者の説明責任も重くなってきているんだ。

 

どんなふうに?

 

媒介業者は今まで、物件状況について、現状の説明だけで終わっていたんだけど、この改正により、買主の購入目的によって、どのような影響が生じるかも予見し、説明する必要が出てきたんだ。

 

具体的にはどのようなこと?

 

買主の予定する建物が建築できなかったり、利用するにあたって制限があったりし、買主の契約目的が果たせなければ、契約不適合となり売主の契約違反となりかねないんだ。その為、関わった媒介業者も説明責任を問われる結果となる。

 

だったら、媒介業者は契約目的に適合するかどうかの調査もしないといけないの?

 

不安なことは、費用が生じても売主や買主に追加調査の助言をしたりして、買主の契約目的が達成できるよう努めなければならないんだ。

 

その為には、売主さんの売却目的と買主さんの購入目的を的確に理解しなければならないね。

 

媒介業者は、今までのように現状を説明するだけでなく、買主にとって「契約不適合」とならないように調査の助言や説明の補足をする必要があるんだよ。

 

それが、民法改正後の媒介業者さんの役割なんだね。

 

そう、その為にも媒介にあたる業者が、色々な状況を加味したうえで、合意された事項や容認された事項を契約書などに記載する必要があるんだ。
なるほど、それには経験豊富な信頼できる宅建業者さんに依頼しなければならないね。

 

場合によっては、将来の環境変化なども説明しないといけないこともあるので、これからも媒介業者さんの役割は重要だよ。

 

そうだね、分からない点や不安に思うようなことがあれば、大阪宅建協会をはじめ不動産関連団体が窓口となる相談所まで相談して下さいね。

 

 

 ライター:西井 幸男(なにわ東支部会員)