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「契約不適合責任」について

2021年12月10日 category:

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博士、今回は昨年の民法改正の際に、新たにできた「契約不適合責任」について教えてくださ~い。

 

たくっち、そんな難しい言葉よく知ってるね。

 

民法が変わった際に、新しくできた決まりだと聞いてるよ。

 

そのとおり、令和2年の4月に民法が改正され、売買の分野においても変更があったんだ。

 

そうなんだ。

 

今回の改正で、売買契約における大きな変更が、売主の「瑕疵担保責任」(2015年12月22日UP2016年6月29日UP Q&A参照)が「契約不適合責任」に変わった点なんだ。

 

「瑕疵担保責任」?

 

私たちは物を買ったとき、その商品に傷(キズ)がついていたら、通常商品を取替えてもらったり、安くしてもらったりするよね。

 

そうだよ。そのままでは納得できないもの。

 

そう、ところが不動産の場合、売主は他の商品とは異なる方法、すなわち「瑕疵担保責任」という方法によって買主に対して責任を負ったんだ。

 

それはどんな責任なの?

 

不動産は他の商品と違って、個性があるため他に代替できないよね。そこで売主は取替えや値引きという形をとらず、損害を賠償するか、売買契約そのものを取り止めにするしかなかったんだ。

 

へえ~そうなんだ。

 

ところが、技術が発展し工業製品が主流になった現代、不動産も他の商品と同じように考えられるようになり、今回の改正に至ったんだ。

 

でも民法が改正される前に不動産を買った知り合いが、雨漏りの修理を売主にしてもらったと言ってたよ。

 

それはね、今までは民法にない当事者の取り決めや、特別な約束(特約)によって解決していたからなんだよ。

 

じゃあ今回の改正により、不動産もキズがあれば修理してもらったり、安くしてもらったりしてもらえるんだね。

 

そう、契約不適合責任への変更により、売主はキズも含めて契約の目的に合わない不動産を引き渡した場合は「契約不適合責任」という責任を負うことになり、買主は修理・修繕の請求や価格の減額請求ができるようになったんだ。

 

なるほど。

 

それと合わせて、いままで売主は契約時点の隠れた(売主も買主も気が付かなかった)キズに対して責任を負えばよかったんだけど、「契約不適合責任」になってからは、不動産を引き渡してからも契約内容に適合しない不具合(キズ等)も負わなければならなくなったんだ。

 

へえ~売主さんの責任は大きくなったんだね。

 

では、もう少し「契約不適合責任」を詳しくみていこう。

 

博士よろしくお願いしま~す。

 

まず、「契約不適合責任」によって、売主は「種類・品質・数量」に関し、契約内容に適合した不動産を買主に引き渡さなければならなくなったんだ。 そして、その不動産が契約内容に適合していないと判断された場合、売主は契約違反となるんだよ。

 

契約違反?

 

従来の民法では売買契約は、売主が不動産を引き渡し買主が売買代金を支払うことによって主な約束は終了し、「種類や品質」の不具合(キズ)については「瑕疵担保責任」という責任によって、損害賠償や契約解除という方法で売主は責任を負ったんだ。

 

そうだよね。

 

ところが今回の「契約不適合責任」よって「種類・品質・数量」が契約内容に適合していない不動産を引き渡した場合は、そもそも契約違反となるんだよ。

 

 

 

≪不動産の場合≫

 1.種類 ... 宅地・農地・雑種地等 

 2.品質 ... 新築・経過年数・程度等 

 3.数量 ... 免責・戸数・筆数等 

 

 

 

へえ~。売主さんの違約になっちゃうんだ。

 

またそれに伴って、契約不適合と判断された場合、買主への救済手段の方法は増えたんだ。

 

救済手段?

 

では、分かりやすく契約不適合における買主の救済手段を従来の瑕疵担保責任と比較して表にまとめてみよう。

 

 

 

≪従来の瑕疵担保責任による買主の救済手段≫

 1.損害賠償請求権 ... その他損害があった場合の請求 

 2.解除権 ... 契約目的が達成できない場合は可能 

 

≪契約不適合責任による買主の救済手段≫

 1.追完請求権《民法562条》  ... 不具合を修補請求や取替え請求ができる。

 2.代金減額請求権《民法563条》 ... 追完請求できない場合に代金の減額請求ができる。

 3.損害賠償請求権《民法415条》 ... 売主に責任があった場合は賠償請求ができる。

 4.解除権(催告による)《民法541条》 ... 契約不適合が軽微でない場合は解除ができる。

 

 

 

1つ目は追完請求権、従来は不具合があっても売主に修理や補修を請求することができなかったんだ。 2つ目は代金減額請求、不具合や不足があった場合売買代金の減額を請求することができるんだ。例えば、修理修繕が不可能な場合は売買価格からその金額を引いてもらうことができるようになったんだよ。

 

3つ目の損害については、今まで通り請求できるんだね。

 

ただし損害賠償については、売主に責任があった場合に限られ、他の3つについては買主に責任がない場合のみ請求できるんだよ。

 

なるほど。それに契約も解除しやすくなったんだね。

 

今まで契約の解除は、買主の契約目的が実現できない場合に限られていたんだけど、今回の改正により、契約の不適合が社会一般常識から判断して些細な場合以外は可能となったんだ。

 

買主さんはいろいろな方法で責任をとってもらえるんだ。

 

また「瑕疵担保責任」では、買主の不注意で気が付かなかったキズに対して売主は責任を負わなくて良かったんだけど、契約不適合責任になってからは、買主がキズに気付いていても売主は責任を負わなければならなくなったんだ。

 

へえ~売主さんの責任範囲も広くなったんだ。

 

それに、責任追及の方法も買主にとって有利になり、従来はキズを知ってから1年以内に何らかの法的手続きを売主に取らなければならなかったのが、今回の改正により不適合を知ってから1年以内に売主に通知するだけで良くなったんだ。

 

へえ~

 

また、ほかに買主が売主に対し「契約不適合責任」について権利を行使できる期間にも変更があったんだ。

 

そうなの?でも、これだけ負担が増えたなら、売主さんはどんなことに注意をすればいいの?

 

まず買主から契約不適合と言われないように、契約の内容を詳細に定めなければならないね。

 

具体的にはどんなふうに?

 

さっきも言ったけど「種類・品質・数量」に関し、買主の契約目的に適合するかどうか、買主の購入目的と合致するかどうかを確認する必要があるんだ。

 

たとえば?

 

では、下図に示してみよう。

 

 

 

 1.売買価格 ... 種類・品質・数量を含めた市場の価格との妥当性

 2.売買の趣旨や目的 ... 購入後の用途(住宅・店舗・工場建設による法規制や

             建築による地盤強度等)の適合性

 3.建物の経年劣化 ... 築年数による建物の状況並びにキズ等の現状確認

 4.契約時の説明 ... 購入時の取得情報確認及び契約時の契約内容確認

 

 

 

なるほど。不動産の内容や購入する目的など、売主さんと買主さんの間で、誤解のないよう確認する必要があるんだ。

 

そうだよ。居宅を建てるつもりで土地を買ったのに、地盤が弱くて建築できないとか、工場を建てるつもりなのに法令上の制限で建築できないとか、契約目的が実現できないとなると契約不適合となるからね。

 

今までより詳しく確認しないといけないんだね。

 

また、売主さんも責任が重くなったのと同様、媒介した宅建業者も従来のように現状のキズ等を説明するだけでなく、買主にとって「契約不適合」とならないように説明の補足や調査の助言をする必要があるんだよ。

 

それが、民法改正後の媒介業者さんの役割なんだね。

 

そう、その為にも媒介にあたる業者が、色々な状況を加味したうえで、合意された事項や容認された事項を重要事項説明書や契約書などに記載する必要があるんだ。

 

なるほど、それには経験豊富な信頼できる宅建業者さんに依頼しなければならないね。

 

場合によっては、将来の環境変化なども説明しないといけないこともあるので、これからも媒介業者さんの役割は重要だよ。

 

そうだね、分からない点や不安に思うようなことがあれば、大阪宅建協会をはじめ不動産関連団体が窓口となる相談所まで相談して下さいね。

 

 

 

 

 

 

 ライター:西井 幸男(なにわ東支部)