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「電子契約について」

2022/10/11 カテゴリー: 売買 賃貸 その他

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下記記事のPDFファイル
(容量:375KB PDF形式)いったんPCへ保存したのち開いて下さい。

 

 

博士、最近「電子契約」ってニュースなどで耳にするんだけど、いままでの契約とどこが違うんですか?
そして不動産の契約にも関係するんですか?
そうだね、契約とは当事者の合意をもって成立するんだけれど、内容を証拠として残すために、従来から書面に記して当事者双方が署名捺印し取り交わして保管しておくんだよね。けれど世の中のIT化が進み企業間のいろいろな書類や契約などの電子化が進み、国も2021年9月にデジタル庁を創設し、各種の公的書式や契約書などのデジタル化を進めるための方策や法整備を進めてきているんだよ。
契約書の場合には、本人が署名して押印して本人の意思を確認しているけれど、電子契約の場合はどうするのですか?
電子契約の場合には「電子署名」によって手書きの署名や押印と同じ法的な効力を持つと「電子署名及び認証業務に関する法律」(2001年4月施行)で定められているんだよ。
電子署名?また新しい言葉が出てきたよ-。
電子署名とは、国の認定を受けた「認証局」という第三者機関によって電子契約の当事者であることの電子証明書という印鑑証明書のようなものを発行してもらうことだよ。
印鑑証明書のようなものなら何となく分かるよ。
この電子署名を契約当事者双方が取得して当事者間で電子契約を締結する方法と、オンライン上で「電子契約サービス提供事業者」を介して電子契約を締結する方法が有るんだよ。
そうなんだ-。
電子契約サービス提供事業者を利用した場合は、送信者の本人認証をして契約書などの内容が途中で改ざんされたりしないように「公開鍵暗号基盤」という方法により受信者に送り、その安全性と内容の正当性を証明してくれるんだ。
電子契約の場合は、当事者が立ち会ったり契約書などを郵送したりせずに、インターネット通信の電子データで契約するので安全性が大切なんですね。
そうだね、公開鍵暗号基盤とは、契約書などのデータを暗号化する「公開鍵」と復元するための「秘密鍵」という2種類の暗号鍵により、データを不正に取得しても秘密鍵を知らない第三者には復元できないようにする通信方法で、この公開鍵と署名されたメッセージをデジタル証明書(電子証明書または公開鍵証明書)と呼び、認証局が発行するんだよ。
それなら安心ですね。
それに、発行日時を証明するタイムスタンプが付与され、締結後の変更や訂正にも対応してもらえるんだよ。
博士、電子契約なら収入印紙がいらないってホント?
そうだよ、印紙税法では売買契約や請負契約などを書面で締結した場合には印紙を貼付しなければならないと規定されていますが、電子契約で締結した場合の記載はなく、現在のところ税務署の見解としては不要とのことなんだ。
また、電子契約で締結した内容をプリントアウトした書面も同様に不要とのことなんだよ。
印紙代を節約できるんですね。
ここに、従来の契約書と電子契約の違いを簡単に表にしてみたので頭の整理をしてみればいいよ。

 

 

従来の契約方式と電子契約方式の違い

 

 

従来の契約方式

電子契約方式

形式

紙の書面

電子データ(PDFなど)

本人確認

印鑑証明書など

電子証明書

押印

実印など

電子署名

変更・訂正等

覚書・訂正印など

タイムスタンプで対応

印紙

必要

不要

送付

郵送・持参など

インターネット通信

保管

書類棚など

サーバーなど

 

 

博士、こうして見ると分かり易いですね。
さて、従来の契約方式と電子契約方式の違いを分かってもらえたところで、いよいよ不動産の契約について説明しようか。
はい、お願いしま-す。
「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」(2021年法律第37号)において、行政手続・民間手続における押印を不要とするとともに、民間手続における書面交付等について電磁的方法により行うことなどを可能とする見直しが行われて、不動産取引においても2022年5月18日に宅地建物取引業法が改正施行されたんだよ。
どこが変わったんですか?
まずは、2020年以降に各法令で進められてきた押印廃止の流れによって、宅地建物取引業法で定められていた重要事項説明書(いわゆる35条書面)宅地建物の売買・交換・賃貸借契約など(いわゆる37条書面)について、宅地建物取引士の押印が不要となって記名のみ(直筆署名も不要)で良くなったんだよ。
一つ目は、宅建取引士の押印がいらなくなったという事だね。

二つ目は、不動産取引に付随する以下の書面は必ず宅地建物取引業法において書面で交付するように定められていた、

・媒介・代理契約書

・指定流通機構(レインズ)登録証明書

・重要事項説明書(いわゆる35条書面)

・売買・交換・賃貸借契約書(いわゆる37条書面)

これらについて、相手方の承諾を条件として、電子契約として電子ファイルでの交付が認められることになったんだよ。

これでやっと不動産取引での電子契約が出来るようになったんですね。
ここで注意してもらいたいことは、電子契約を行うには相手方の承諾を条件としていう点で、取引の相手方にインターネット環境が整っていなかったり不得意だった場合には出来ないし、仲介業者の場合には売主様と買主様そして共同仲介者がいる場合には、そのすべての方たちの環境条件が満たされていることと同意が必要なんだよ。
えーっ、まだまだ一般消費者には難しいところが有るんだね。

 

それと、法律や認証局そして電子契約サービス提供事業者などの環境整備は整いつつあるんだけれど、不動産の売買契約を電子契約にすると不動産登記の際に、これまでの契約書面と印鑑証明書を添付して申請していたのが、法務大臣が指定する電子証明書を添付する必要があるんだよ。法人の場合は商業登記に基づく電子証明書(商業登記電子署名)で、個人の場合は公的個人認証に基づく電子証明書(マイナンバーカード署名)が必要なんだ。
だったら、初めに目的に合った電子証明書を作るように気を付けておかなければいけないんだね。
うん、そうだね。
いずれにしても、電子契約が広く一般的に広がるまでは宅建業者としては、従来の契約方式と電子契約方式のどちらにでも対応できるように準備しておくことが大切で、一般消費者の皆さんにとって負担の軽い方式を選択してお薦めすることが大切だね。
そうだね、インターネットに不得意な方にとっては余計な不安を与えてしまうかもしれないもんね。

 

もし、分からない点や不安に思うようなことがあれば、契約をする前に大阪宅建協会をはじめ不動産関連団体や地方公共団体の相談窓口に相談して下さいね。

 

 

 

 ライター:研修インストラクター 長尾 敏春(北摂支部)