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「代理制度について」

2022/12/12 カテゴリー: 売買 その他

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下記記事のPDFファイル
(容量:295KB PDF形式)いったんPCへ保存したのち開いて下さい。

 

 

 皆様こんにちは。今回は気に入った物件が見つかったので購入を決定し売買契約を締結しようとしているAさんからの相談だよ。仕事の関係で急な出張が多く、契約予定日にもしも急用ができて、どうしても契約に立ち会うことができなくなった場合、売主や媒介してくれた宅建業者さんにもご迷惑をかけるし・・・。どうしたらいいのか?事前に知っておきたいとのことだよ。
 売買契約日は変更できないという前提だね。Aさんが既婚者ならば例えば奥さんを、またそうでない場合も誰か信頼のおける人を代理人と定めて契約を締結するという方法があるよ。
ええ、そうなの?自分でしなくてもいいの?
本人に代わって、代理人が本人のために相手方と契約を結ぶことを「代理」というのさ。そしてその効果は本人におよぶ。例えばAさんの奥さんがAさんに代わって売主さんと契約すればAさんと売主さんとが契約したことになるというわけさ。
なるほど。そういうことができるなら確かに便利だね。でも本当のところAさんは奥さんに頼んでいなかった。奥さんが勝手にした。要は代理人が本人の知らないところで勝手に契約したということもあり得るわけだよね。
たくっち。いい指摘だね。この「代理」が成立するためにはいくつかの要件があるのさ。それを見ていこう。
よろしく!
まず
①代理人に代理権があること。
②代理人が相手方に「自分は本人の代理人である」ということを示すこと。これを顕名(けんめい)という。
③代理行為が行われること。具体的には契約をすること。
以上3つの要件が整わないといけないのさ。
なるほど。そうすると、もしAさんが奥さんに頼んでいないというのであれば①の代理人に代理権がないことになるから奥さんが勝手にした契約は成立しないということだね。
そのとおり。しかしそういったすべての場合において契約が成立しないというわけではないのさ。奥さんにあたかもAさんからの代理権があるような外観があり、その外観があることについてAさんにも責任があり、そして相手方がそれを善意かつ無過失で信用したときは少し難しい表現だけれど「表見代理」(ヒョウケンダイリ)と言って契約が成立してしまうことがあるよ。
なんか難しいよ~
例えばAさんは奥さんに自分の代わりに契約してという委任状のようなものを渡していたけれど、その期限が切れてしまっていたような場合で、相手方がそれについて落ち度なく知らなかったような場合かな。先ほど述べた3つの要件を軸に様々なケースが生じるわけだけど、これらについてはまた機会があれば詳しく説明するよ。
なるほど。代理は便利なようだけれどいろいろな制約もあるわけだね。
そうだね。法律行為だからね。自分の代わりにハガキをポストに入れといてというわけにはいかないよ。
博士。それは代理ではなく単なるお使いだね。
だよね。契約ではないね。
博士。今回Aさんはどのようなことに注意すればいいの?
まず代理人となる奥さんに代理をしてもらうことを明らかにする書面(委任状)を作成すること。そして代理行為の範囲を明確にすること。例えば「売買契約の締結」というように明記すること。書面にはAさんが署名捺印すること。できれば実印で捺印し、印鑑証明書を添付すること。これで奥さんに代理権があることの証明ができるのさ。
実際の売買契約締結において代理人である奥さんが注意することは?
まず相手方にAさんの代理人であることを示すこと。そしてAさんからの自署による委任状(委任者の押印)を提示すること。実際の売買契約書への署名捺印においては下記の点注意が必要だよ。
売買契約書の署名欄には
買主 
住所  Aさんの住所 印字可
氏名  Aさんの氏名 印字可

上記代理人
住所 奥さんの自署
氏名 奥さんの自署   印
 
上記のように記載されているよ。買主の署名捺印欄に奥さんがAさんの住所、氏名を書いて捺印してしまう「代筆」はダメだよ。代理のシステムを使ってね。
 
また、奥さんも買主という場合もあるよね。
そのような場合は
買主 
住所  Aさんの住所 印字
氏名  Aさんの氏名 印字
 
買主兼上記代理人
住所 奥さんの自署
氏名 奥さんの自署   印
 
という記載になるよ。今回は購入の事例だけど売却の場合も買主のところが売主となるだけで基本的には変わりはないよ。
博士いろいろとありがとう。Aさんもこれを参考にして安全で安心な取引をしてくださいね。

 

 

 

 ライター: 長村 良二(北摂支部)