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「賃貸借契約の基礎知識(賃貸編)」

2018/09/10 カテゴリー: 賃貸

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下記記事のPDFファイル
(容量:315KB PDF形式)いったんPCへ保存したのち開いて下さい。

 

 

 こんにちは、今回は賃貸借契約の基本的なことを教えてほしいという相談だよ。

 

 それでは家を借りる時の基本的な契約のことを説明しましょう。

 

 契約って、聞くだけでむずかしそうだね。

 

 契約とは、家を借りる時のいろいろな約束事を決めることで、それらをまとめて書いてある書類を契約書というんだよ。それぞれの内容が分かればそれほどむずかしいことはないよ。

 

 そうなんだ、まずはじめに賃料の説明をお願いします。

 

 賃料、いわゆる家賃のことだね。借りる家や部屋を1ヶ月いくらで借りるのかを決めて書いておくんだよ。家賃は、ホテルや旅館のサービスに対する宿泊料などとは違い、家とか部屋そのもののスペースを借りるその対価で、基本的には前払いだよ。翌月分を当月の末日まで(別に期日を決めている場合もある)に支払わなければいけません。

 

 家賃の支払い方法について教えてよ。

 

 昔は、借主が家主の所へ家賃を持参して「通い帳」(受取り控え)に印鑑をもらっていたんだよ。そこで家主と借主とのコミュニケーションが取れていたんだけど、最近は借主の時間と手間を省くために振込が多くなったんだよ。だから振込料の負担は、借主負担なんだ。振込になって家主さんとのコミュニケーションをとる機会も少なくなったので余計に期限は守った方がいいでしょうね。

 

 引き落としは出来ないの?

 

 家主さんは、家賃が遅れるまでは請求しないので引き落としは出来ないんだよ。もし心配なら、借主が銀行で自動振替の手続きを取っておくといいよ。ただし、止める時も自分で手続きを忘れないようにね。

 

 家賃の支払いを忘れた時はどうするの?

 

 まずは家主さんに遅れることの連絡をして、できるだけ早く収めることですね。契約書の中には家賃の支払いが遅れた時には遅延損害金が掛かるという場合もあるので注意しなくてはだめだよ。

 

 期日までに余裕をもって納めておく方がいいんだね。

 

 家賃を滞納すると、家主さんや管理会社の人から家賃の請求がありますが、これはただ単なる督促だけではなく、滞納の原因は何で、その滞納で生活が破綻しないかなどの確認と正常化への相談の意味もありますので、こまめに連絡を取り合って打ち合わせをするようにしてください。

 

 そうだね。

 

 家賃と共に管理費や共益費、駐輪代などがある場合にはそれらも併せて契約書に記載しておき、家賃に併せて支払うようにしましょう。

 

 そうですね。

 

 それから、家賃が滞った時のために家主に預けておくお金のことを保証金とか敷金というんだよ。保証金と敷金では多少違いがあるのでそのことをしっかりと聞いておくことが大切です。

 

敷金・保証金については当Q&Aの2017年8月29日
「重要事項説明書とは?(賃貸編)」をご参照ください。

 

 保証金や敷金は将来、解約した時に戻ってくるの?

 

 保証金の場合には契約時に決めた解約引きを差し引いて、敷金の場合にはそのまま返ってくるけれど、先ほど言ったように滞納の家賃などがある場合には、そこから差し引かれるか、不足する場合には請求されますよ。

 

 博士、礼金ってなんですか?

 

 礼金は、むかし震災とか戦争とかで住宅が少なかった時に「貸してもらってありがとう」ということから始まった習慣で、借主が家主に支払い、契約成立と同時に家主の所得となって、解約時の返還は無いんだよ。関西ではそれが保証金の解約引きに当たるものだね。

 

 へーっ、関東と関西でそんな違いがあるんだね。

 

 ただ、最近では賃貸住宅も増えて部屋が余っている状況となっているため以前より保証金・敷金や礼金の額も安くなってきているから借りやすくなっているよ。

 

 そうなんだあ。

 

 それと、万が一のために連帯保証人がいるので確認しておくようにしてください。最近では賃貸保証会社を利用するケースも増えてきています。そのことはまたの機会にお話ししましょう。

 

 はい。

 

 ほかにも、契約書にはいろいろな約束事が書いてあるよ。

 

 どんなことが書いてあるの?

 

 届出事項で、入居中に家族構成や仕事が変わった時には家主にその内容を届けてくださいとか、模様替えや改造をするときには家主の承諾を受けてからしてくださいとかだよ。

 

 約束を守ることは大切なことだよね。

 

 それから、禁止事項というのがあって、転貸(また貸し)とか反社会的勢力の入居は禁止されているし、ペットの飼育とか、楽器の演奏とかは出来るのか、禁止しているのかを決めておくんだ。

 

 入居してからガッカリしないように、注意が必要だね。

 

 そして、入居中の費用負担の事についても説明するね。

 

 あっ、ガスとか電気とか水道代の事でしょ。

 

 そうだね、それらの支払い方法と、あとは修理とか維持費の負担の割合とか支払い方法なども決めておくと後でトラブルにならずにいいでしょうね。

 

 約束事がいっぱいあるんだね。これくらいですか?

 

 あとは解約の手続きと退去後の原状回復についてのことかな。

 

 原状回復って?

 

 基本的に借りたものは元に戻して返すのが当たり前だよね。住居の場合はそこで生活をするから、通常の日常生活で起こる経年劣化や損耗は仕方がないのだけど、故意過失を問わず、日常生活以外で起きた損傷の修理や改造を加えた部分は元に戻して返すことだよ。

 

 それは、借主がしないといけないんですね。

 

 そうだね、賃貸借契約のトラブルで一番多いのが、この原状回復についてだから、しっかりと聞いておいてください。

 

 はい、博士ありがとう。

 

 もし、分からない点や不安に思うようなことがあれば、契約する前に大阪宅建協会をはじめ不動産関連団体が窓口となる相談所まで相談して下さいね。

 

 

 ライター 長尾 敏春(北摂支部会員)