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「契約の解除について」

2022年8月 9日 category:

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皆様こんにちは。今回は気に入った物件が見つかったので購入を検討しているAさんからの相談だよ。売買契約を進めるにあたって、どんな場合に契約を解除できるのか、また解除となるのかを事前に知っておきたいとのことだよ。Aさんの話によると、売主は宅建業者ではなく一般の方とのこと。博士、よろしく。
売主は宅建業者ではないとのことだね。一般消費者対一般消費者の構図だな。売主が宅建業者の場合は2021.1.7UP「宅建業者が売主の場合の注意点その1」を参照してね。Aさんもせっかく契約したのに、その後いろいろな事情で契約を解除したい、あるいは解除せざるを得ないといったこともでてくるよね。また契約の相手方から解除の意思表示をされることもあるよね。そんな時どうなるのかということはとても心配なことだね。わかります。
だよね。契約したとはいえやっぱり不安だよ。
どのような場合に契約解除となるのかあらかじめ知っておくことはとても大事なことだよ。ひとつ参考になるのが不動産売買契約において一般的に広く利用されている売買契約書の定形型というものがあるよ。(一社)大阪府宅地建物取引業協会に加入している宅建業者もそのような契約書を利用しているよ。その内容に準じて説明するね。
博士、お願い。

その契約書では契約を解除できる場合を6つのケースにおいて定めているよ。

①手付解除

②引渡前の滅失・損傷の場合の解除

③契約不適合を除く契約違反による解除

④反社会的勢力の排除条項に基づく解除

⑤融資利用の特約による解除

⑥契約不適合責任による解除

あと少し特殊だけど借地権付売買の場合、借地権譲渡について土地賃貸人の承諾を得ることを条件とする契約条項に基づく解除といったものもあるよ。

博士、なんか難しそうだよ。
聞きなれないフレーズばかりで戸惑うよね。わかるよ。でも心配いらないよ。先ほど述べた6つのケースについてそれぞれの概略を説明するね。いいかい?
よろしく!
まず①手付解除だが、たくっちは手付金という言葉聞いたことあるかい?
あるある。何か契約する時に支払う本気度を示すお金というかそんな感じのものだよね。
う~ん。もちろんそのような意味合いもあるけど不動産売買においては解約手付といって売主、買主、双方、契約の解除ができるように授受されるお金だよ。買主から売主へ契約締結時に支払われるのさ。
どういうこと?
契約はしたけれど何らかの事情で解除したい場合、売主が解除したいときは受領した手付金の倍額を買主に支払い、買主が解除したいときは支払った手付金を放棄することによって契約の解除ができるという仕組みなのさ。
なるほど。それぞれこの手付金というものがペナルティになるわけだね。
そのとおり。しかし、いつでも解除できるとなれば契約自体が不安定なものとなるので、通常この手付解除ができるのは契約から約1ヶ月間と定めている場合が多いよ。また、相手方がこの契約の履行に着手したときはできないとされているよ。この履行の着手についてはいろいろな観点があるけれど、今回は契約の履行に向けて、相手方のために何か動き出したといった感じで捉えておいてよ。
わかった。
次に②引渡前の滅失・損傷の場合の解除についてだが、天災地変とか売主、買主のどちらの責任でもない事由によって物件が滅失し、売主が物件を引き渡すことができなくなった場合、買主は売買代金の支払いを拒むことができ、売主又は買主は契約を解除することができるとしているのさ。
売主、買主どちらの責任でもないからしかたないよね。
③契約不適合を除く契約違反による解除についてだが契約不適合責任については2021.12.10UPを参考にしてね。例えば売主が約束の期日を過ぎても物件を引き渡さない、また買主が約束の期日を過ぎても売買代金を支払わないといったような場合のことなのさ。要するに決められた約束の時にその約束を守らないとどうなるのかということなのさ。
それは困るよ。どうなるの?
約束を守らなかった相手方に対して自分のするべき約束を果たし、相当の期間を定めて催告したうえ で契約の解除ができるという仕組みだよ。
約束を守らなかった方は当然ペナルティあるよね。
そりゃそうだよ。相手に迷惑かけているからね。定形型の契約書ではこのような場合を想定してあらかじめ違約金を定めているよ。
次は④反社会的勢力の排除条項に基づく解除だね。
これは売主又は買主が反社会的勢力であった場合、その相手方は契約を解除できるという主旨の内容だよ。定形型の契約書ではいろいろな場合を想定しているよ。法治国家のもとではとても大事なことだね。次は⑤融資利用の特約による解除だね。これは買主が住宅ローンを利用して物件を購入する場合に適用されるのさ。
不動産は高額だからほとんどの人が住宅ローンを利用するよね。
だよね。せっかく契約したのに住宅ローンが利用できなかった。そんな場合買主は売買代金を支払えないよね。そうすると約束を破ったことになるからペナルティを課せられる。これでは買主が気の毒だよね。だから住宅ローンの利用ができなかった場合、買主は無償で契約を解除することができるとしたのさ。当然買主は誠実にローンを申し込み、定められた期日までにローンの可否を通知するという約束は守らないといけないよ。
そうだよね。だめならだめできちんと通知する期日を守らないと売主にも迷惑がかかるよね。

 

さすがたくっち。いつもながら理解がはやいね。 最後は⑥契約不適合責任による解除だね。引き渡された物件に当初聞いていたことと相違が生じた場合、例えばエアコンは修理整備して引き渡すと言っていたのに故障したままだった。このような場合買主は売主に対して修補の請求ができるといった内容のことだよ。いろんなケースがあるけれど場合によっては、損害賠償請求や契約解除ができるよ。これも詳しくは2021.12.10 UPを参考にしてね。
博士、①~⑥のケースに当てはまらないこともあるの?
そうだね。例えば手付解除の期限を過ぎ、住宅ローンも承認され他に何も解除事由がないのに残代金決済期日までに一方的に契約を解除したいといった場合は、当事者間で協議の上、合意解除といったことも考えられるね。この残代金決済期日を経過してしまうと③の契約不適合を除く契約違反による解除ということになっていくのさ。
なるほど!博士、ありがとう。Aさんもこれを参考にして安全で安心な取引をしてくださいね。

 

 

 

 

 ライター:長村 良二(北摂支部)